saku139
述懐 平成二十五年(2013)四月
悪なれば色悪よけれ老の春 虚子
をみな子の 才(ザエ)も鋭(スルド)にもの言ふは
悪しからねども さびしかりけり 迢空
一芽一芽ひかりの集積と思ふまで
われの快癒をうながす木々は 春日井建
ひそめたるまばゆきものを人は識らず
わが歩みゆく街に灯ともる 有即斎
木もれ日のうすきに耐へてこの道に
鳩はしづかに羽ばたきにけり 宗遠

名樹散椿 御舟画

十六
新歌舞伎座で「熊谷陣屋」を観て
* 四月三十日 火
* 起床9:00 血
圧130-67(61) 血糖値78 体重65.5kg
数日来感じていた、ものの曲がって見える殊に右眼の症状が気になる。先日の聖路加眼科診察では何も云われず三ヶ月先の診察予定が決められた。心配。 朝
バナナ 卵納豆 出汁 朝の服薬 午前の仕事 午 ものが噛めずスープ類のみ 午の服薬 午後、地元の眼科へ行く。 どうもはっきりしない。以前の右眼写真と今日の写真とでは、片方にやや蔭がみえ水が溜まっているかとも。聖路加で早めの診察を受けるように奨められる。視力はたしかに改善されているが、眼鏡は今のままでいいのではと。困惑。 このままでは、宙に浮かんだままのようで、気分暗い。 晩 バターロールパン一つ、味噌汁、薩摩揚げを刻んで。コンソメスープ 柑橘 晩の服薬 晩の仕事
眼の不調が気になる。不安尽きぬ。二日には、早々にスキャナ検査、引き続いて上部消化管の内視鏡検査。鎮静剤を使うので、妻に付き添いを頼ん
でいる。胃全摘から一年二ヶ月半。抗癌剤服用も終了し新段階へ移行のおりから眼に異常が出ては困るが、右眼の違和ははっきりしている。ともあれ、何が在ろ
うと立ち向かう。
☆ 陽春の候
皆様には御健勝にお過ごしのこととお慶び申し上げます。
此度、歌舞伎座新開場柿葺落四月大歌舞伎が開幕致し、染五郎、金太郎共々親子孫三代で舞台を勤めることが出来、本日盛況裡の内に千穐楽を迎えられました事、誠に有り難く、これも偏に日頃より御後援下さいます皆様方のお陰と心より感謝申し上げる次第でございます。
この後共歌舞伎をご愛顧下さいますようお願い致しまして、誠に略儀乍ら謹んで御礼のご挨拶とさせて戴きます。
ありがとうございました。
平成二十五年四月二十八日 松本幸四郎
* 名古屋市大へ行っていた谷口さんが、四月一日付け 母校のお茶の水女子大大学院の研究科へ栄転帰還がきまったと知らせてこられた。東工大のおり、お茶
の水の院から副手としてわたしを手伝いに通ってくれた人で、立派な近代現代文学の研究者。そろそろと期待していたとおりの母校帰還でおめでたい朗報であっ
た。
* 秦建日子が五月末からの秦組公演「タクラマカン」のチラシを送ってきた。期待している。東池袋アウルスポット公演のあと、大阪へ移動してサンケイホー
ルでも公演と。この演目は、繰り返し繰り返し改訂を加えながら公演してきた、作・演出建日子の財産で、「らん」とともに代表作といえる。若い顔ぶれで元気
な、アピールの強い佳い舞台になるだろう。ブログにこんなことを書いていた。
☆ タクラマカン
壊して壊してまた創る。
舞台の稽古が始まると、情緒が不安定になる。
センチメンタルな感情によく襲われる。
と同時に、怒りっぽくもなる。
疲れる。
自分で自分の戯曲を「壊す」作業が続く。
書いた時はあんなに気に入っていたのに。
でも壊す。
より面白くなる可能性を感じたら、とにかく一度壊す。
壊して壊してまた創る。
秦組の稽古が始まって一週間くらい。
「タクラマカン」はどんどん新しい芝居になってゆく。
今回は初めて、戯曲を製本して印刷した。
でも、戯曲通りのシーンは、既に半分も無い。
キャストはみな輝いている。
その輝きに、演出家はいつも嫉妬をする。
稽古時間は連日10時間。
みんな、稽古初日からほとんど台本を持っていない。
誰も手を抜かない。
誰もネガティブな空気を出さない。
時間が濃い。
脳をとにかく回し続ける。
演出家のアイデアが止まってキャストが「待ち」になる時間が嫌いだ。
甘いものを食べ続ける。
当然のごとく太る。
明日ももちろん稽古だ。 秦建日子
* 夏場所の十二日めか十三日目を竹蔵君に予約した。
* やはり体調整わない。明後日の検査に備えてやすもう。四月が逝く。元気に朗らかな五月、来たれ。
* 四月二十九日 月
* 起床8:00 血
圧131-68(52) 血糖値83 体重66.4kg
朝 南瓜スーブ オニオンスープ ヤクルト 昆布茶 朝の服薬 午前の仕事
午 柑橘 飲み物 午の服薬 午後の仕事 排便 また排便 晩 コーンスープ 粥二膳 ピザ少し 飲み物 晩の服薬 先日来ときおり気になった視野の線の歪み・膨れ。今日それが右眼に出ているのに気づいた。 不安。
* 日本の主権は米国の帝国主義により寸断されていて、歎いてこそ当然、何の祝賀か。天皇を憲法違反で露骨に政治利用し、主権皆無の沖縄を酷く見捨て、首
都圏上空の広範囲をすら日本の飛行機は飛べず、米航空機は日本中を意のまま轟音飛行し、広大な基地を占め、地位協定を楯に仕放題。何の祝賀か、バカにする
な。
* 索漠とした「主権回復祝賀式典」の最後、退場の天皇夫妻にどこかから「バンザイ」の声、これをシオに一斉の「バンザイ」を見るから戸惑われて佇立の両
陛下。自然発生、真率の声と為にする側は云いつくろうであろうが、主催者がわの鉄面皮な「やらせ」は見え見え。官庁や電力会社の公聴会などの「やらせ」と
同じなり。
* 「脱原発首長会議」へ参加の首長が、発足一年、ぐっと増えている。うやむやに脱原発世論を低下させてはならないと。それでこそ健康でまともな認識。擁
護の推進の稼働の新設のと迂愚を露出した「違憲」政権の徒に、いっそ政府を福島第一原発に近接移転し、そこで生活してみたらと、こっちまでバカを云いたく
なる。
* 連休感覚がない。温かくなっているようだが、汗ばむ感覚はない。
☆ リツイートを
ありがとうございました。
ツイッターを始められて ホームページ共に拝見しながら 大変なところ良く頑張ってくださった事、とても嬉しく思っています。
友人も同様な事になり 心配していたのですが やっと治療が済み ほっと致しました。
詳しい症状を日々拝見しながら 大変さに思いを馳せておりました。体重は 少しずつ回復されているようですが 丁度良い雰囲気なのではないでしょうか。
友人は40キロを切っていましたが 今は少し戻ったとの事 もともと細い方なので本当に心配でした。
まだまだご活躍して頂かなくてはなりません。
お体を大切になさって 楽しい事や 美味しい物を頂いてお元気になられますよう、切に願っております。
お大事になさってください。 由
* 痛む膝を折って茶室にあがりたいとは思いませんが、なにしろ世間が世間の今日の雑駁ゆえ、いつか、静かに元気にお茶のはなしなど出来たらいいなあと、まだ、ゆらゆらよろよろしながら、霞みがちな眼をいたわりながら、想うことです。
思いがけずツイッターでの再会、心強く思っています。ただしツイッターらしくツイートしたい気はなく、わたしひとりの添削教室のつもりで、字数と取り組んでいます。
お元気で。
釣瓶を水指に使われたことがありますか。そういう季節になってきましたね、そろそろ。 遠
* 四月二十八日 日
* 左脚膝上内側の疼痛、無い。起床9:00 血
圧127-62(59) 血糖値87 体重65.6kg
朝
卵粥一膳 軽菓少し 朝の服薬 午前の仕事 午食 いろいろ 午の服薬 午後の仕事 晩 ピザ スープ 飲み物など 晩の服薬 晩の仕事 やはり使い続け
ていると眼は疲労し霞んでくる。 家の中では涙少ない。 洟は出ないが時折唐突に真水のようなのが零れ出す。 軟排便一度。 手足の痺れ失せつつ。 やや
血色戻る。
* 参議院に代わりうる「老議院」の可能性も念頭に、60〜80歳の全国的な「老人会議」の成立を提唱した
い。十余年前、山折哲雄氏との対談『元気に老い 自然に死ぬ』(春秋社)のなかで初めて提起した。いまや老境日本人はただ庇護をもとめつつ社会から退いた
存在、退いていい存在、退くべき存在とは謂えない。構想を纏めたい。
* 福島第一原発は、いまだに鼠たちに「安全」を脅かされ泣き言を並べている。嗤うに嗤えぬ脆弱な「原発」よ。日に日に、原発を構成している鉄鋼に科学の
証明している「脆性」罅裂が進行していることは、専門家も、つとに指摘し危険を告げている。それはもう今日か明日かも知れないとも。破断すればどうなる
か。国土の汚染と国民の疲弊。
* 安倍「違憲」総理の唱える「侵略の定義は定まっていない」という歴史を無視した強引で低級な我田引水の論に、世界のジャーナリズムが厳しい批判を浴び
せ、こんなご都合論で往年の侵略を言い逃れようとしていては、「アベノミクス」どころでなく彼の「違憲」政治は早晩挫折するとまで非難している。安倍はい
まや裸の皇帝を演じている。
* 同志社大の浜矩子経済学教授は、終始一貫傾聴すべき論調で、安倍「違憲」総理の経済政策を破綻必至のあ
ざとい「カラクリ」仕立てと、真向批判し続けている。安倍「違憲」総理の物言いには、改憲にも国防軍にも公益秩序にもアベノミクスにも、意図的にねじまげ
たウソが多すぎる。どれもこれも国民から湧いた意向でなく、傲慢自尊の権の濫用なのである。
* わけの分からない、筋道の通らない、沖縄を切り捨ての「主権回復記念日」の式場に、強引に天皇・皇后を呼び寄せ、棚上げの飾り物に仕立てた安倍「違
憲」政権は、あからさまに、露骨には初めてと謂える「天皇の政治利用」を暴行した。ゆゆしい未来への悪しい憲法違反であり、日本の歴史はまたも地獄へ滑落
し始めたのである。
☆ マルクス エンゲルス『共産党宣言』(岩波文庫)
大内兵衛・向坂逸郎訳に拠る抄録を今後断続しつつ紹介する。 (10)
・ 労働者が 自分の労働賃金を現金でうけとって、(ブルジョア)工場主による労働者の搾取が終ると、そのとき、かれらには、他の部分のブルジョア階級がおそいかかる、すなわち、家主、小売商人、質屋等々が。
・ これまでの下層の中産階級、すなわち小工業者、商人および金利生活者、手工業者および農民、これらすべての階級はプロレタリア階級に転落する。
・ かれらの小資本が大工業の経営には足りず、 かれらの熟練があたらしい生産様式によって価値を奪われるからである。
・ こうして、プロレタリア階級は人口のあらゆる階級から補充される。
(秦注・ 自分たちのまわりの、飲食業・手技製作業・小売販売業、下請け生産業等々を、また零細
農家などを、その店構えや手仕事や製造作業等々とともに観てみるといい。手形を落とすだけに、資金を借り返すのに四苦八苦し倒産して行く業者達が、巷にの
たうち続けている。ブルジョア大企業に奉仕するのを日本の政治と使命とのみ考えている保守政治やたちは、かかる困窮にまともに目もくれないのを、だれしも
今は知っている。しかもそのような困窮者やその家族達が、選挙となると、わずか一パーセントの金持ちのための政治へ投票するのは何故か。自分だけはすり抜
けられおこぼれにあずかれる「かもしれない」と勘定しているのだ、無意識にも。それは、あり得ない。ブルジョア政治のために「天皇」をも露骨に政治利用し
始めた「違憲」政権のもとでは、真っ逆さまに益々の「最大不幸」へ転げ落ちる。防ぐには、聡明な、シビアな投票と抵抗しかありえない。)
* いまわたしが取り上げているのは、マルクス・エンゲルスによる『共産党宣言』のうち、第一章「ブルジョア階級とプロレタリア階級」であり、第二章以下
の共産党の問題には踏み込まない。今日的な意義を読もうなら、第一章のいわば歴史的な展開・展望にこそ今日のわれわれがもう一度落ち着いて学び返すに足る
現実味がある、是伝いにあると信じたからである。
引用は、けっして難しくない。今日的な政治と経済とを批評的に観る目さえあれば、戦前の読書子よりも今日の読者の方がはるかに実感で補足できるのではないか。東電と現場作業員。その例示でかなり事足りてくる。
マルクスのエンゲルスのに戦かず、共産党の名になど驚かず、派遣社員や非正規雇用者やいわゆる日雇いの感覚から、日本の今の政治と大企業とを見抜きたいとわたしは願うのである。
そんなわたしが、日本の古典を愛読し日本の美術に魂を奪われ日本の伝統芸能に心酔し日本のすぐれた思想に敬意を持つからと云って何が可笑しいことであろう。それあるがゆえに、大きく過たずに悪政と搾取の深層へも真相へも立ち向かえるとわたしは信じている。
* 「天皇の政治利用」を強行することで、自分たちの悪政から国民の目を逸らさせようとしている安倍「違憲」内閣の悪辣な暴走を、何としても食い止めねば
日本人の少なくも九割に平安な明日は無い。徴兵制がきっと来る。年金は相対的に削られ、消費税はみるみる二割を越えるだろう。「公益と秩序」の名において
憲法が保障した「基本的人権」は屑と化し「治安維持法」の悪夢がありありと蘇ってくる。生きるよりいっそ死にたいと願うような国民大多数の明日が明後日が
来てもいいのか。
誠実なジャーナリストや文化人の、旗幟を鮮明にした「反原発」だけでなくいまや「反悪政」「反違憲」の大同が渇望される。
* 四月二十七日 土
* 夜中かつてなく左脚膝上内側に白熱感のつよい線状の疼痛が再三起き、脚の位置をずらすなりして凌いだ。 起床8:30 血
圧131-65(56) 血糖値72 体重65.8kg
朝
狐饂飩 卵納豆 出汁 朝の服薬 湖の本校正 午食 柑橘 午の服薬 午後の仕事 晩 出前寿司 汁 飲み物 晩の服薬
* 新聞の見出しにまで「付け焼き刃」とは頂けない。「つけやいば」と言い慣れてきた。「やいば」は「焼刃」の音便。刀剣の「刃=やいば」も原義は「焼刃」にある。上の例の「付け」はそれらしく見せた「似せ」ものの意味。
何度も謂うが、いまや国民的口癖の「すごい」は書いて字のごとく凄惨、凄絶の意味で褒め称える批評語としては、あまりにトンチンカン。
☆ マルクス エンゲルス『共産党宣言』(岩波文庫)
大内兵衛・向坂逸郎訳に拠る抄録を今後断続しつつ紹介する。 (9)
・ 近代的工業は、家父長制的な親方の小さな仕事部屋を。工業資本家の大工場に変えた。
・ 工場のなかにつめこまれる労働者群は、兵隊と同じように組織される。かれらは下級の産業兵として、下士官(=主任・課長)や士官(=課長・部長)の完全な階級組織の監視のもとにおかれる。
・ 毎日毎時、機械によって、監督者によって。なかでも製造家たる個々のブルジョア自身によって奴僕化される。
・ この専制は、営利(=儲け)が自分の最後の目的だと明らさまに公言するようになればなるほど、ますますけちな、ますます意地きたない、ますます腹立たしいものとなる。
(秦注・ まさにこの絵
に描いたほどの適例を、いま、東電という特権営利主義企業の「会長・社長」らと、その最下層で放射線に身をさらして収奪されながら働く現場作業員たちとの
構図に観て取れよう。しかも大ブルジョア企業の「内部留保」はそれこそもの凄い金高に天までも積まれて、けっしてとと謂えるほど労働者達には配分されな
い。)
* さてさて。今日ももう疲れた。目は霞んでいる。
* 四月二十六日 金
* 起床8:00 血
圧116-56(59) 血糖値82 体重65.4kg
朝
狐饂飩 リッツ 豆 にんにく ヤクルト 甘夏 朝の服薬 軟排便 午前の仕事 午 蕎麦 ほか 午の服薬 午後の仕事じっくり 晩 若布筍 筍飯 ほか
晩の服薬 晩の仕事 八時前か秦建日子帰ってきて、歓談 十時過ぎに仕事場へ。 機械の前へ。 一日も早くよく合った眼鏡の遠用と仕事用とが欲しい。
五月二日には、しかし上部消化管の内視鏡検査やスキャナ検査がある。七日には不安定な歯の治療もある。調製まえに視力の処方箋が欲しい。聖路加眼科を待た
ず、地元の医院にお願いしたい。 右眼の視野直線が彎曲して見える。。
* 「核不拡散」は大切な理想であった、アメリカは理想を捨て、日本に「カネ」の生る木の「原発」建設を半ば強要し、卑劣な安全神話を指導した。日本の政
治と原発科学は「カネ」に目が眩み、結果、福島第一原発の大悲惨を招いた。しかも悔いと反省無しに安倍「違憲」政権は暗に核武装まで予定して「脱原発」を
否認している。否認の顕著例として、今回世界の「脱核条約」に被爆国日本は反対した。
☆ 最近益々
気持が滅入ることが多くて、なかなかメールも書けませんでした。
日本の電力王だった松永安左衛門が、軍部と対立して
「救いがたし日本の運命」と言って引退、戦争中は一切のニュースにふれず茶人として暮らしたという逸話がありました。あんな大物ではない庶民の私も、「救
いがたし日本の運命」とため息をつかない日はありません。真実を報道しないニュースは見るのもいやです。国民の命も生活も、日本語も、絶滅する運命かもし
れないのに、世間はふつうに動いているので、自分は気がふれているのかと思うこともしばしばです。
しかし、こんな鬱状態は世間からみれば、恵まれた人間のノイローゼみたいに冷笑されるのが関の山でしょう。私の属している環境は権力はなくてもその周
辺、ある意味特権的で、おそらく日本がTPPに入ろうが憲法改悪しようが直ちにはダメージを受けません。しかし、私は自分がタイタニックの一等か二等船室
にいるだけで、結局船が沈みつつあることを直感していて、とても怖いのです。
なんとか食い止めたいと一人で騒いで、出来ることはしていますが、結局何も変えられません。充分にご存じでしょう。調べれば調べるほど、私の悲観を超え
る規模で原発事故の汚染は拡大し、さまざまな政治状況も国民を脅かし深刻に危機的状況です。今この瞬間も、日本は日本人でない何者かに滅ぼされようとして
います。
最近自分で自分を励ますことができないでいました。
ですから、抗癌剤を卒業なさったというメールは、不吉な風雨の中のきれいな青空のように感じられほっとしました。ずっとこの時を待っていました。お辛そう
な毎日で、服用を中止できないものかと、何度心配のメールを書きそうになったことでしょう。自分が癌になっても抗癌剤は使わないと公言するドクターも多く
います。そのくらい強烈な薬であり毒でもあるのですから、投薬終了は何よりの朗報でした。
これからは、おいしく食べて(ただし食材は選んで)どんどん体力も免疫力も回復なさいますように。日常生活を覆っていた抗癌剤の重苦しい副作用がなくなり、晴れやかなお気持ちになることはご快癒に向けて絶大な効果のあることでございましょう。
抗癌剤治療の中でも猛然とお仕事をしていらしたみづうみですが、外出などはどうか少しずつ再開なさってくださいますように。まず簡単なリハビリ体操で筋力を取り戻してくださいませ。
今の東京は人が出歩くのに危険な場所に
なってしまいました。チェルノブイリ事故の教えてくれることは、呼気からの被曝が一番健康への影響が大きいことです。首都圏は呼気からの被曝をもうどうし
ようもできません。日本では報道されませんが、海外の日本を見る眼は極めて厳しいものです。被曝はより一層の健康被害をもたらすとも読みました。
被曝した多くの都民と同じ運命をたどるとしても、わたくしがすでに子育ての終わっている世代であるのはまだ幸いであったかもしれません。若い世代より長く健康被害と闘う必要はないからです。
どうしても必要なご用事以外に、みづうみの都心に出向くことは避けていただきたいと切に願っています。
鮎 若鮎の二手になりて上りけり 子規
☆ マルクス エンゲルス『共産党宣言』(岩波文庫)
大内兵衛・向坂逸郎訳に拠る抄録を今後断続しつつ紹介する。 (8)
・ (例にこと欠かない、あの)商業恐慌 それは周期的にくりかえしながら、ますます急迫的に全ブルジョア社会の存立をおびやかす。
・ 恐慌においては、以前のどんな時代にもとても起こるとは考えられなかったような社会的疫病――過剰生産という疫病が発生する。社会が突然、一瞬のあいだに未開状態に逆もどりしたようになる。
・ なぜそうなるのか? 社会に文明がありすぎ、生活手段が多すぎ、工業や商業が発達しすぎたからである。
・ (あげく)かれらブルジョア階級は、もっと全面的な、もっと強大な恐慌の準備をするのであり、そしてまた恐慌を予防する手段をいっそう少くする。
・ ブルジョア階級が、すなわち資本が発展するにつれて、同じだけプロレタリア階級、すなわち近代労働者の階級も拡大する。 かれらは、労働を見出すあいだだけ生き、かれらの労働が資本を増殖するあいだだけ労働を見出す。
・ この労働者は、自分の身を切り売りしなければならないのであるから、他のすべての売りものと同じく一つの商品であり、したがって、一様に競争のあらゆる変転に、市場のあらゆる動揺にさらされている。
・ プロレタリアの労働は、機械装置の拡張や分業によって、あらゆる独立的性格を、したがってまた、労働者にとってあらゆる魅力を失った。労働者は機械
の単なる付属物となり、 だから、労働者のためについやされる費用は、ほとんど労働者が自分の生計と自分の種族の繁殖とに必要とする生活手段にのみ限られ
る。
(秦注・ 只1
パーセントの富裕支配者(ブルジョア階級)の富裕に奉仕する経済施策にのみ嬉々として狂奔して行く安倍「違憲」内閣。「国民の最大不幸」をわたしが歎く理
由は、上に明らかにされている。「国民」とは、まさしく、今や生活手段すら満足に持たざる「プロレタリア勤労者階層」を指している。)
* 建日子が、自作・演出の芝居稽古のあと、脚をのばし保谷へ帰ってきた。二、三時間いろいろ話し合った。かつてのわたしほども大きい、から
だ。健康には気を配っているようだし、仕事も猛烈こんでいるらしい。五月から六月へ稽古中の芝居の公演(東池袋アウルスポット)があり、済めば即時に大阪
へ行き初の大阪公演と。怪我も事故もないよう努めて欲しい。NHKでも短期連続のドラマがもう撮影済みというし。小説も書いていると。せいぜい噴出すると
いい。願わくは、よりよい、そして花も実もある優れた創作を。
* さて、この不逞老人は、好き放題の仕事ですが、よほど真剣にすすめています、じっくりと。
* 四月二十五日 木
* 起床9:00 血
圧129-57(63) 血糖値99 体重65.2kg
朝 狐饂飩 出汁 ヤクルトなど 朝の服薬 午前の仕事 午 いろいろ 午の服薬 排便 午後の仕事 晩 すき焼き 飯一膳 飲み物など 晩の服薬 晩の仕事 今日は舌がすこしザラつく。体調も視力も一定でなく、日により時間により波のようにさしひきがある。
* 「東電」の悪質な隠蔽と捏造の体質は、最近の「汚染水破綻」や「タンク容量」についても、露骨。この企業には反省とか罪責感とかが全く無い。「東電」
にも限るまいが、さりながこの企業は東北の原発被害者にはもとより、広く日本国民にむかっても、エネルギー政策の歪みや誤りと結託した「犯罪に相当する」
悪事をいまも現に狡猾かつ強慾に為し続けている。「国の犯罪」とも連累している。
* 「緑茶会」なる「脱原発」に結集の政治団体が発足し参議院選挙に向かおうとしている。応援したい。衆議院選挙でのあの「未来の党」の挫折は今もって信
じがたい残念を抱いている。前車の轍を践まず、かつ強力で鮮鋭な知恵袋も用意して欲しい。声を挙げているだけでは戦には勝てない。やはり大同団結を念頭
に、短小軽薄な功名心にとらわれないで聡明に働いて欲しい。
* 沖縄を、日本の主権から斬り捨てたともいえる日に、主権回復祝賀式を閣議決定した安倍「違憲」内閣のおろかしいトンチンカンは失笑すらはばかる、悪質
な誤作動。あのあくどい自民党の歴史においてすら、佐藤栄作以下の当時の領袖政治家達は、口を揃えて「沖縄の主権回復なしには戦後体制は革まらない」と繰
り返し叫んでいた。安倍「違憲」総理らのオツムの程度が知れる。
* 福島瑞穂の委員会質問はさすが的確、安倍「違憲」総理はたじたじしながら強がっていたが。ダメ。福島の総理糾問は、勤労者等の弱さにつけこんだ、只1
パーセントの富裕者の富裕に奉仕する経済施策への痛烈パンチ。また自民党の憲法改悪志向への真っ向微塵の批判。これにも安倍「違憲」総理はカンシャクを起
こしただけで答え得ず。
* 小説を進めていた。 十時前。目は弱っている。湯に漬かる。
* 四月二十四日 水
* 起床8:00 血
圧125-56(53) 血糖値81 体重65.2kg
朝
丸餅三つ ヤクルト ヨーグルト 大蒜三粒 養命酒 昆布茶 朝の服薬 午前の仕事 午 焼き蕎麦 筍 など 午の服薬 午後の仕事 晩 すき焼き 筍に
椎茸、玉葱 甘夏 苺 ミルクなど飲み物など 晩の仕事 眼、疲れる。 九時。なにかしら視野の直線が彎曲して見える気がする。
* 憲法に対する誇りと敬意と謙遜と忠実を欠いて、それで総理大臣も大臣も代議士も官僚達も、何の「公僕」であるか。きみたちは、「権」力という仮の預かりものを帯びた、国民に仕える「下僕」以外の何者でもない。
憲法を改めてはいけないなどと国民は云わない、改めるには、基本の行儀として、先ず、現憲法へ、誇りと敬意と謙遜と忠実をつねづね示していなければ、憲
法という「至高法へ反逆」という大罪を犯している。「改憲」には、なにより、憲法自体がさだめた手順手続きを誠実に践んで為すのが、当然で絶対の義務であ
る。
傲慢無礼な安倍総理よ、自民党の代議士よ。きみたちは、わたしたちの「公僕」に過ぎないのだ。わたしたちの「支配者」ではないのだ。まして「憲法」を足
蹴にしていい何一つの理由もきみらは持っていない。「政権」というも、国民がきみらに仮に預けたもの。「権」一字の意味は、本来それであり、それ以外の放
埒な悪用を国民はけっして許可していない。
国民こそ主人公。司直は国民への奉仕者。間違えるな。
* 今日は小説に時間をかけた。まだまだ、先がある。
「Twitter」も恣に書いた。字数制限を逆手に、倍ほどの文章も工夫して140 字に取り纏めるのが面白いし、いろいろ考えさせられる。
* 四月二十三日 火
* 起床8:30 血
圧123-61(56) 血糖値99 体重65.8kg
朝 饂飩 納豆 など 朝の服薬
手足の痺れがほぼ失せ、久しく出来なかった指さきで鼻や耳をほじくることが出来る。味覚障害、口腔内の砂を含むようなザラザラ感もほぼ減退し、食べられる
品数と味わいも戻って来つつある。抗癌剤の副作用で視力がガタ落ちのころ、以前の眼鏡がまるで使えず、弱った視力に合わせて眼鏡を作ったのが、視力回復に
よりまたも現在の眼鏡が合わなくなっている。眼鏡トライの処方箋を早めに欲しい。またまた眼を弱らせないために。
排便 午 焼き蕎麦 柑橘 飲み物 午の服薬 歯
医者で二本目の仮歯を入れて貰う。奥のもう一本が欠けたまま。ついで近いうちには欠け落ちそうな上正面の二本が不安定、舌で押してもゆらゆらする。やれや
れ。 夕方帰宅。 吉備から頂戴した大きな「桜鯛」一尾の蒸し物を美味しく嬉しく頂戴し、万歳楽の「白山」を呑む。筍飯の筍は讃岐から頂戴した。 晩の服
薬後 仕事 そしてお宝鑑定団を観る。点数を限って前後にいいものを見せてくれる。今晩は、雅邦門下四天王の一人、薄幸孤月懸命の真作五点が観られた。一種の小美
術史のように、時間を惜しまぬ解説の入るのも有難く。ほかにもしみじみと佳い作が何点も出て、見応えがした。美しい、佳いものが巷にかくも多く愛蔵、秘蔵、ま
たは偶然に隠れているのを、番組が掘り起こしてきてくれる。
* 「迫る国民の最大不幸」とわたしは先を読んでいる。先とは謂えまい、「自殺者も急増 地獄の就職活動 非正規雇用の拡大 解雇の自由化 上がらぬ賃金 大多数国民と
は無縁な『株高』に奉仕の経済政策」 これだけ挙げても、今が今、国民の、若者や働き人達の極端な不幸である。なにがアベノミクスか、確実に「アベノミス」になる。
* 靖国社へ金魚のうんこのように大臣、代議士達の行列。敬虔の微塵も感じられぬ軽薄なパフオーマンス。英霊への感謝に虚礼の参拝はむしろ無礼。国会で全員が黙祷のうちにでも真摯に礼は尽くせる。軽薄そのものの此奴らを、知性と誠意のある聡い選良とはとても思われない。
* 「Twitter」も書き、小説も。
* ああ、今日はもう視力を使い果たした。、
* 四月二十二日 月
* 起床8:30 血
圧121-57(52) 血糖値83 体重65.8kg
朝 饂飩 納豆 など 朝の服薬
排便 午前の仕事 午 丸餅三つつ 筍 飲み物 午の服薬 聖路加感染症内科へ 尿・血液に感染その他問題なく、赤血球の量が増え顔色も改善されていると
の見立て。 眼の幾分の不調は現在の眼鏡に問題があると思う。視力の落ちた段階で仮につくった眼鏡を使用しているが、いまや今の眼鏡の度より視力が改善さ
れているなら、それはそれで眼鏡と眼との関係は不調和にあると観なければならない。 それはわたしの観測。 処方の薬を受けとったあと、少し気迷いのまま
歩いていて、玉寿司の本店をみつけて入った。「栄蔵握り」という上種を注文し、佐々木蔵之介という秦建日子のドラマにも出たことのある俳優の実家、京
都の佐々木酒造の「銀明水」という特醸の純米酒を一合。久しぶりに魚の味がして美味しく食べた。呑んだ。四つ五つ握りを追加した。「食べられる」のが嬉し
い。それでも疲労してくると、よろよろする。見かねて席を譲ってもらいもらい、帰宅。 晩 筍と若布少し 飲み物 晩の服薬
* 士大夫を軸として発展した中国の文学・小説では、私小説はむしろ稀である。あからさまに私事を書くことはむしろ禁忌に相当していた。そんな中でいまわ
たしの愛読している沈復の『浮生六記』は希有な作の一つ。惜しいことにおしまいの二記分を欠いているが、巻一は「閨房記楽」すなわち結婚の幸福をあからさ
まに掲げている。最愛の妻を得ての幸福の記述に終始していて、夫婦生活はのびやかに楽しく相思相愛をさながら謳歌している。芸(うん)という奥さんが天真
爛漫の才女で、夫もなみなみでない秀才。筆致になにのけれんもなく、淡々として明朗、おもわず読者の微笑を誘う。いわゆる文飾の工夫におちいらず、さらさ
らと平易に、ほとんど文学の素人のような按配だが、自然な構成で巻から巻へ「人生」が連携して行く。この幸せに満ちていた旦那さんの未来は、必ずしも幸福
ではないが、寂寞なりに閑寂の清明に心身を委ねて行く。
まことに希有かつ自然体の、強いて謂えば私小説でもあり心境を飾らない述懐の随筆文学。中国文学のエッセンスは随筆にあると吉川幸次郎先生はいわれ谷崎潤一郎先生も深く賛同されていた。その明証の一作と観ていいだろう。
* 古代ローマの風刺小説、ペトロニウスの『サチュリコン』は、はちゃめちゃの猥雑に鋭角の批評が混在、いや遍在していてこれまた面白い。
・ 恥ずべきことは、各人が間違って学習してきたことを、老人になって率直に認めようとしないことである。
・ 厳格な学藝の世界で成功せんものと かくも偉大だ目標をこころざした者ならば、根性をまず自制という過酷な方法で鍛えるべし。
・ こわれたガラス瓶のごとき無駄口
・ わしらはみんな死ぬ運命にある。そうとならわかっとるならどうして精一杯生きようとせんのか。
・ 運命の女神(フオルトウナ)は独自の考えを持つがゆえに、人間はおのれの企てに深き信を措くべからす。
・ 愛欲は神々すら衝き動かすのだ。
・ 叡智への愛はかつて何人をも金持にしたためしがない。
・ 財産のみを積み重ねようとこころざす者は、この世の中でおのれの所有するもの以外は何も信用しようと欲しない。
・ どういうわけか貧乏は良心の姉妹である。
こういった箴言なみの批評が連携して、しかも物語は猥雑を極める。しかもこの著者は皇帝ネロの師であり友でありセネカにならぶ知性であった。読み進むのが、とても楽しみ。
* さらに今も楽しんでいるのが、ゲーテの『イタリア紀行』とツルゲーネフの『猟人日記』で。えも云われず興趣豊か、一つはまさしく「紀行」だが凡常の旅
日記ではない、ゲーテ内実の科学者像を彷彿させる精微で興味深い「観察」が、岩石にも土壌にも植物や動物にも、農耕の実地にも、土地土地の工藝・技術や、
さらには古典的な藝術・建築・庭園や、そしてイタリア」人へも漏れなく及んで、しかもそれらの総分母には「藝術家」の慧敏な感性が横たわっている。日本語
の訳もりっぱだが、なにもかもが美しく匂い立ってくる「紀行」なのだから驚く。たくさんな紀行や旅日記をわたしは読んできたが、此のゲーテの『イタリア紀
行』のような名品に出逢ったことは、まず、カエサルの『カリア戦記』を措いて他にはまったく記憶がない。
いま一つの『猟人日記』のなんという至藝か。小説らしい筋や物語は無いに等しい、のに、その滋味の魅力は、かなりの大冊なのだがまさに巻を措かせない。
ロシアの農奴たちの土俗と気質と、そして世界大にひろがる広大で緻密な自然の色、音、匂い。読んで読んで読んで行って、しかも微塵も飽きない、退屈しな
い、どころか世界に包み込まれて深い安堵と平和とを満喫しているのである。
『イタリア紀行』も『猟人日記』も、淳乎として高雅な「随筆」美の最たる精華というより他の言葉が見当たらない。
心ゆくまでこういう名品を読んで楽しめる幸せを、わたしは噛みしめている。
* 此の機械の側に限っても、『共産党宣言』あり『臨済録』あり、『上田秋成年譜考説』も『十訓抄』も『捜神記』も陶潜や白居易の詩集も『古今著聞集』も、すぐ手に取れてそのまま吸い込まれるように読んで楽しめる。
欲も得も無い。ただもう読んで感動し感銘をえて、楽しくて仕方がない。永かった人生で、いまほどいろんなことが自由自在に楽しかった時期は無かった。なにやかや軋轢がありあくせくもし、なにより欲があって得もしたかった。あんなことでは、楽しみは濁ってくる。
* 四月二十一日 日
* 起床8:30 血
圧129-70(67) 血糖値79 体重64.8kg
朝 饂飩 納豆 など 朝の服薬 排便 午前の仕事 午 スパゲティミートソース 軽菓 のみもの 午の服薬 排便 午後の仕事 晩 飯一膳卵掛けて 納豆 筍と若布 味噌汁 のみもの 晩の服薬 排便 入浴 高麗屋一家のテレビ番組観る
* 体調にはえも謂えぬ波があり、快方と思っている視野や視力も、昨日はまずまず、今日は霞の中という感じで、日によりもあれば、同じ日でも朝昼晩で波打
つように状態が揺れ動く。今は、目をほそめて覗き込むようにしないと字が読めないし書けない。「貴方は本当に文学者か? 漢字の勉強位はして、間違いの無
い内容にしなさい。」と匿名のメールが来る。
* 「ご指摘ありがたく。言い訳にしかなりませんが、七十七歳 抗癌剤の連用副作用でもともと弱い眼を傷つ
け、霞の底を覗き込むように手探りでキイを打っています。回復したとき全面点検するつもりですが、今は、『ともあれ、書いておきたい』気持ちが募っていま
す。機械打ちにありがちな誤変換を許容してはいませんが、それしきで文学への気持ちも値打ちも揺るぎはしないのです。それよりも、日本ペ
ンクラブに電子メディア委員会を提案し創設した昔からの信条です。あなたがどんな方かが分かれば、感謝と敬意はもっとまっすぐ深まったでしょう。名無しの
権兵衛で闇討ちする無責任がお好きなのですか。「文学者」をあげつらうなら、あなた自身がフェアな誠実を示してください。 秦 恒平」
* 小説を前へ前へ押しだそうとしている。何と謂っても小説を書き継いでいる時が、しんどくも、楽しくも、嬉しくもある。余儀なく二つも三つも併行の創作だが、そのぶん辛抱よく楽しんでいる。
太宰賞以前のわたしが、そうであった。投稿しようの応募しようのという気ではなかった。文壇に入りたいなど考えてもいなかった。こつこつ書いて書きため
ている内に、文芸誌にも太宰賞にも、向こうからお声がかかった。文壇に招じ入れてもらったのだ。その文壇にも拘らなかった。たくさんな本を出版して貰っ
た、いつしれず「秦恒平・湖(うみ)の本」を自身で創刊し、「騒壇余人」とも名乗って四半世紀を超え、自由に書き、自由に本を出し続けている。何の不自由
も不足もない。
* 晩 高麗屋一家のテレビ番組観る。白鸚が染五郎だった頃からの高麗屋贔屓で、はからずもというか、いつしれずご縁が出来ている。いまの幸四
郎、染五郎、金太郎三代、それに松本紀保、松たか子の芝居はほぼ欠かさず観てきた。贔屓、親愛ということが生きの命の妙薬になることを心嬉しく感じてい
る。
高麗屋さん どうかお大切に。みなさん、お元気に、怪我も事故もなく、ご活躍あれと。
☆ 日録を読んで
心配したり、ちょっと安心したりしています。
この2,3日 ご夫妻ともに小康状態のようで何よりに存じます。
塩蒸し桜鯛をお届けしますのでお口にあえば召し上がってください。23日に届く予定になっています。 吉備ひと
* 有り難う存じます。どうぞ、お元気で。
* 四月二十日 土
* 起床8:00 血
圧132-71(61) 血糖値77 体重65.3kg
朝
リッツ数枚 昆布茶 軽菓少し 朝の服薬 排便 近くの病院へ妻の退院を迎えに行く 十一時帰宅 休息 午 饂飩 納豆 バナナ ヤクルト 午の服薬 排
便 午後の仕事 晩 卵かけ飯一膳 筍と若布 出汁 ピーナッツクリーム 柑橘 ウイスキー少し 晩の服薬 排便 抗癌剤の影響が歯にもあったろうか、右
上の奥で二本歯が欠けている。前上の欠け一本は仮歯でカムフラージュ中。それに加え、上中央二枚の挿し歯が今にも落ちそうに揺らいでいる。歯は齢という、
嬉しくない。
* 近時 毎朝夕に元気づけてくれるのが、玄関を護って偉容悠然の久保飛呂史画『鯉』の大幅。気宇浩然、こころよい限り。名作であることを疑わない。
今一つ、読み進んで日々に心嬉しいのは、高田衛さんに新たに頂戴した名著『完本・上田秋成年譜考説』で、論攷として真実優れているのはもとより、語弊を
あえて顧みず謂えば、さながらの「物語」、信ずるに足るまさに『上田秋成の生涯』を成して在ること。すばらしいご馳走を一箸一箸さながら食する嬉しさで大
冊を箱から出しまた箱におさめて愛読している。
もう一つ、心親しく手にして読み進んできたのが、市川染五郎君の贈ってくれた新著『超訳的歌舞伎』で。妙な題ではあるが、なかは楽しい歌舞伎案内ないし
は歌舞伎役者である著者覚悟のいかにも健康で率直な披瀝本。巻末の、新猿之助との対談もふくめて快い読み物であった。文章も表現も溌剌として花形の雰囲気
に溢れていた。
☆ 抗癌剤卒業と。
何より嬉しいお知らせでした。目の状態が改善するのは、書くのが天職の人にはどれほど大切なことか。
CTスキャンは最近わたしも体験したばかりで、MRIもそうですが、機械装置の中に「入っていく」気分、一種の閉塞感でしょうが閉じ込められるに似て、また視界の微妙な明るさからも逃げ出したい衝動を味わいました。感じすぎだと言われてしまうかもしれませんが。
とにかく日常が大いに改善され、食事に関しては美味しいと思えるものが増え体重が増えて、お仕事の進捗されることを祈ります。
迪子様の手術も無事終えられてホッとされたことでしょう。昨日はずっと病院に付き添われているかと察しておりました。
循環器系統、特に心臓に関しては慎重に注意深くしてもしすぎることはないのですから、医術の進歩はありがたいと、これはあまりに平凡な感想ですが、そう思います。
わたしはあまり元気でもありませんが。この一週間近くはボストンでの爆破事件のニュースを追っていました。
事件の起こった場所、昨晩の事件の場所MITやウォータータウンなど馴染み深い処で、それだけ思い入れてしまいました。暮らしたのはチャールズ川南の地域ですけれど、懐かしさに思い溢れます。
いろいろな場所に住んで、現在の住まいが終の棲家になるかどうか分かりません。わたし一人は京都に住みたい、もっと便利で気軽に留守できる住まいがいい、など勝手に痛切に思っています。
今月は関西に二回行きました。
新しい土地では、仲間が増える以前の寂しい状態です。ここでの集まりにも出かけているのですが、最近少々がっかりすることがありました。まあ、ゆったり
あまり考え込まずに対処していけたら、それでいいです。スポイルされてみたいものです。(そのような機会はありませんから。)
庭仕事のベストシーズンです。育てている約二十本の薔薇の木の黒斑病やアブラムシ対策に毎日気を使っています。八重桜は満開です。眩しいけれどやはり春は佳いです。
元気に元気になってください。 尾張の鳶
* すてきに立派な讃岐の筍を三本も頂戴した。ありがとう存じます。若布としっくり煮合い、香りもゆたかに美味しく戴けている。筍飯が楽しみになってきた。視覚とともに、味覚も、すこしずつ取り戻して行けそうな気がしている。そのためにも歯の治療を頼みにしないと。
* 『ペンと政治』三巻に没頭していたため、小説へもとりついていて、機械の各所で未整理・未進捗が目立ってきた。なかには、どう操作するのかと迷ったり忘れたりもしている。少しずつ取り戻して行く。
* 半盲めいていた間、シンフォニックな読書もしにくかったが、取り戻して行けるだろう。
沈復の『浮生六記』が珍しくも面白くもあって枕元の書目に加えてある。
* 「Twitter」に誘われて十日目ぐらいか、140字制限の多方面への「述懐」を、はや170項も発信した。二ヶ月もすれば1000に成ろうか。こ
れと目指した伝達相手をわたしは意識していない。創作に類する「孤」の仕事と思っている。共感して読んでくださる方があるなら、有難い。
* 四月十九日 金
* 起床7:00 寝起きに、久しぶり手足の痺れ失せていた。色素沈着もやや淡れている。脚も軽い。血
圧122-63(58) 血糖値81 体重65.8kg
朝 丸餅三つ バナナ 菓子 飲み物 朝の服薬 今
年二度目、通算三度目の妻の循環器手術、入院。今回はステントを入れた箇所をさらにバルーンで広げる。手術が成功し血流が裕に進んで、しつこく強い両脚の
痛みに改善がみられるといいがと切に祈っている。徒歩十分の病院へ同行。 一度帰宅 午 蒸し薩摩芋一切れ バナナ 柏餅 昆布茶 出汁 柑橘 午の服薬
一時半の手術に立ち会う。 冠動脈へのバルーンの挿入に成功、医師の術後の説明を聴いて、一息ついて、帰宅。 晩 独りで 酒と蒲鉾 バナナ 昆布茶
など 晩の服薬 晩の仕事 建日子から電話
* 新歌舞伎座六月柿葺落しの第二部、壽曽我対面と土蜘、第三部、御存鈴ヶ森と助六由縁江戸桜。座席券が届いた。第一部は申し込まなかった。難しいかと案
じていたが、四月、五月、六月と、予約した計八部の全切符が入手できた。楽しみに楽しみにしてきた、感謝感謝。ぐっと立ち直って、元気を着々回復して行き
たい。
* 家に独りは、黒いマゴがよく寝ているが、静かすぎてさびしい。建日子の母の容態を問うてきた電話は、有難かった。
* 晩は小説に向かっていた。
* 九時半だが、階下へおり、マゴと向き合い、テレビを観るか、校正か、本を読むか。もう少し酒を飲むか。
* 四月十八日 木
* 熟睡 起床8:00 血
圧112-57(62) 血糖値90 体重65.8kg
朝 丸餅三つ 柑橘 飲み物ほか 朝の服薬 郵便局とスーパーへ 午 焼き蕎麦 柑橘 ヤクルト 菓子 午の服薬 午後の仕事
☆ パソコンから
長いこと遠ざかっていて、操作がうまくいかないのが原因で、筆無精をしてしまいました。
ごぶさたお許しくださいませ。
「湖の本」で、先生のご闘病のご様子を知り、なんとのんきなことを私は申し上げていたのかと、反省しています。
また奥さまもお倒れになったとか。ご看病のご心労が重なったのでしょうか。お二人とも、どうぞ、お大事になさってくださいますよう。
いつものタケノコ屋に行きましたら、今年は、まだ本格的でないということ。15日を過ぎたらおいしいのが出てくる、と言われました。
それで、先生のスープにお役に立てたらと思いつき、お野菜を求めました。
土筆と蕗は私が摘みました。春の香りがしました。ツクシを七輪の炭火で焼いて食べるというのは初めて知りました。これが春を味わう一番の食べ方ですね。来年、私もしてみます。
15日以後にタケノコ発送してくれることになっています。先生ごらんになるだけで結構です。
春を味わっていただけますよう。 讃岐の春
* 感謝。
* 明日は、今年二度目、通算三度目の妻の循環器手術、入院。今回はステントを入れた箇所をさらにバルーンで広げる。手術が成功し血流が裕に進んで、しつこく強い両脚の痛みに改善がみられるといいがと切に祈っている。わたしも立ち会わねばならない。
十一時。もう休む。
* 「Twitter」を始めたのは数日前のこと。気ままな我流でもう150項もツイートしてある。短文を字数制限で書ききるという「演習」のつもりだか
ら、他のどんな人のツイートとも全然様子が変わっている。「つぶやき」というより自在に多彩な「ひとりごと」である。字数に厳しい制限のあるのをむしろ喜
んでいる。
* 四月十七日 水
* 熟睡 起床8:00 血
圧116-60(54) 血糖値72 体重65.3kg
朝 海老飯 納豆 出汁 ヤクルトなど 朝の服薬 午前の仕事 午 饂飩 温泉卵 飲み物など 午の服薬 午後の仕事 排便 晩 飯と鰈 スープ など 晩の服薬 晩の仕事
☆ 季節が移りました。
暖かい日射しも、強すぎる日もありますが、如何ですか?
歌舞伎座を楽しんでいらっしゃるかと、思って、喜ばしいく思ったり、羨ましく思ったりしています。
こむら返りのひどいのは、すっかり治りました。自然のちからは大きいものでした。
どうかご機嫌よろしく。 那珂川 菜
* このところ国会の議員定数を大幅に減らそうという議論が、党からも議員からも出てくる。ツイートにも出てくる。
わたしは、少し懸念もする。こんなことを、いささか申し入れておいた。
* 国会議員諸賢に申します。議員数の大幅な削減は、最悪、一党独裁の弊害も憂慮されます。民主主義の本来は万機公論に決し民意を広く深く汲むにあり、
「代議」政治の根幹です。代議士の数を減らしすぎて上記に悖ることあれば、角を矯めて牛=民主主義を殺しかねないこと、配慮願います。 作家 秦 恒平
☆ マルクス エンゲルス『共産党宣言』(岩波文庫)
大内兵衛・向坂逸郎訳に拠る抄録を今後断続しつつ紹介する。 (7)
・ ブルジョア階級は農村を、都市の支配に屈服させた。巨大な都市を作り出し、農村人口にくらべて都市人口の数を非常に高度に増加させ、 さらに未開および半未開諸国を文明諸国に、農耕諸民族をブルジョア諸民族に、東洋を西洋に依存させた。
・ ブルジョア階級は 人口を凝集させ、生産手段を集中させ、財産を少数者の手に集積させた。この必然的な結果は。政治的中央集権であった。
・ ブルジョア階級は、かれらの百年にもみたない階級支配のうちに、過去のすべての世代を合計したよりも大量の、また大規模な生
産諸力を作り出した。自然力の征服、機械装置、工業や農業へり化学の応用、汽船航海、鉄道、電信、(=航空機も)、全大陸の耕地化、河川の運河化、地から
湧いたように出現した全人口――
・ そして 自由競争があらわれた。それに適合した社会的ならびに政治制度があらわれ、ブルジョア階級の経済的ならびに政治的支配があらわれた。
・ われわれの眼のまえに、その同じ運動が(=まさに今も)進行している。
・ かくも巨大な生産手段や交通手段を魔法で呼び出した近代ブルジョア社会は、自分が呼び出した地下の悪魔をもう使いこなせなくなった魔法使いに似ている。
・ かの商業恐慌をあげれば充分である。それは(=バブル崩壊やリーマンショック等々のように)周期的にくりかえしながら、ますます急迫的に全ブルジョア社会の存立をおびやかす。
(秦注・ いかに一時的にアベノミクスが見かけの手柄をあげて見えようとも、見かけが毒々しければなおさら「国民の、弱者の最大不幸」は所詮避けがたく無残に崩れ去る。)
* このマルクスとエンゲルスの共著『共産党宣言』は、一八四八年二月末に本になっている。もう二百年になろうとしているが、その前半をなす歴史的解析や
洞察の深さには心底おどろかされる。いわゆるマルクシズムが全的に成功を形成し得たかは疑問符をつけざるをえないが、その咎はむしろ近代人の側にある。
* 小説を、少し書き進んだ。
* 四月十六日 火
* 熟睡 起床7:00 血
圧130-63(60) 血糖値79 体重65.0kg
朝 涙も洟もほとんど無し 視野・視力もよほど回復 体重も漸増 栄養予備食 昆布茶 菓子 聖路加腫瘍内科へ、独りで。 よくなってきた眼や体調を、ま
た抗癌剤で痛めないために、一年の抗癌剤服用に終止符を打ちましょうと。なによりも眼が大事、いっそうひどくしかねないので、なにより確実に眼を護りま
しょうと。癌細胞は一箇所といえどもリンパ節に転移していたので、どこへどう動いているか、写真をとっても内視鏡でみても、絶対確実にとは把握できない。
万が一転移していたらこれはもう手術で取りきるということはできない。あと四年、丁寧に検査し続けましょうと。抗癌剤に対してよく頑張りました、それなり
の効果の期待もしたいが、生体を傷つけないで健康状態へ推移して行くことも大事ですからと。
次いで眼科へ。視力は抜群に回復していると。一ヶ月後には眼鏡の処方箋を書きましょうと。
ふらふらと銀座へ出たが、食べたい意欲がなく、うろついてうろついてうんざりして松屋八階の宮川で「鰻」を食べてきた。地下鉄を乗り越さぬように気をつけ、無事に帰宅。
* 晩、建日子が帰っていた。十時ごろに都内へ戻る。横浜から西武池袋線へ一本の電車で来れる。建日子は中目黒から保谷へ一本で来れるようになった。
東京にはいろんな事がある。
* 前の総選挙で支持を求めてきた民主党候補に、支持できないと理由をつげて断った。「ペンと政治」を送っておいた。それに対し、「多々深い御洞察や鋭い
御指摘がなされており、極めてハイ・レベルの論説であると受けとめさせて頂きました。お礼申し上げます。」と。何の反省も異見もない。これでは落選した
のもむりはない。ビビッドな何も表せないのだ。
* 平山城児さんの「蘆江怪談の原点」という論攷は興味深く読めた。怪談の底に「夢」への思索が生きている。たんなる面白づくでない関心の寄せ方が感じられた。
☆ ツイッター
拝見いたしました。こんな藝術の香気漂う格調高いツィッターは他に見たことがありません。一つの文藝作品ともいえる、異色のツィッターでしょう。いかにもみづうみらしいもので、読者としてはまた一つ楽しみが増えました。盗作が心配にはなりますが。
気持のよい晴天ですね。新歌舞伎座で楽しい一日をお過ごしのことでしょう。 品川区 朱
* 四月十五日 月
* 熟睡 起床7:00 血
圧123-64(60) 血糖値81 体重64.6kg 洟、涙とも少ない。
朝 饂飩 昆布茶 朝の服薬 木挽町 新歌舞伎座柿葺落し興行観劇に妻と出向く。一部、二部、三部とも。久々にワイシャツ・ネクタイ姿に。天気晴朗。
* 開幕の「壽祝歌舞伎華彩 鶴壽千歳」 染五郎が新歌舞伎座柿葺落しの舞台を真っ先に踏んで登場。長老坂田藤十郎が若く美しい鶴として舞遊び、染五郎、魁春その他の若手が花やいで舞った。
次いで、亡き勘三郎に捧げる「お祭り」 嗣子勘九郎、七之助が立派に成長、いまや押しも押されもせぬ花形になっている。鳶頭の三津五郎の体重を消し去った綺麗な踊りがみごと。福助、橋之助以下若い大勢がはなはなと元気よく。いかにもお祭り。
弁当は、三年ぶりに「吉兆」で。一品一品おいしく、全部を食べた、なんと久しぶりのことか、さすがに吉兆。
第一部の仕上げは吉右衛門の熊谷、ひさびさ玉三郎の妻相模、菊之助の藤の方、力演歌六の弥陀六、それに美しい仁左衛門の義経と、堂々の布陣。吉の熊谷はさきごろも眼近に観て泣かされたが。
* 第二部は、「弁天娘女男白浪」を菊五郎の弁天小僧と左団次の南郷力丸が無難に浜松屋の幕を開けた。吉右衛門の日本駄右衛門、時蔵の赤星十三郎、三津五
郎の忠信利平。稲瀬川土手のつらねはさすがであった。極楽寺の大屋根で割腹の菊五郎、なかなかの貫禄、さらに山門の吉右衛門も大きく、むかえうつ梅玉の青
砥藤綱が、友右衛門と團蔵の赤星十三郎を従えての見栄も見映えした。彦三郎の浜松屋幸兵衛も落ち着いて、彼、近年重みを加えている。
「檜」の奥で、たっぷりと珈琲。
次いで、待ってました玉様 坂東玉三郎凄艶の瀧夜叉姫に、このお役はきっと嵌ると期待していたとおりの尾上松緑 大宅太郎光圀で「忍夜恋曲者 将門」は
たいへん立派に凄みの一幕となった。玉三郎の美しさ、年輪を加えて圧倒的。彼女 いや彼はこういう凄みの役でひときわ輝く。
* 第三部の開場で、高麗屋夫人の手をとっての御見舞いを受け、しばし歓談。
我當君の番頭さんとも。おかげでお世話を掛けているお人の招待もできた。
* さてこそお待ちかね、先ずは「盛綱陣屋」は沈着盛綱に片岡仁左衛門はぴたりはまり役。豪壮和田兵衛に赤つらの吉右衛門がでかく大きく、そして北条時政
に片岡我當が堂々の座頭役で音吐朗々郎の貫禄。満足した。高綱妻の篝火は時蔵、盛綱妻の早瀬は京屋の芝雀がなかなか立派だった。
* 弁当の幕間に、久しぶりに茜屋珈琲へ。なつかしくマスターと歓談、おいしい珈琲をたっぷり。妻は好みの白のグレープジュース。またこれからはこの店へ何度も来れるだろう。
だが何というてもこの感動豊かな大歌舞伎舞台を占領した役者は幼い幼い松本金太郎の小四郎だった、美しい声で科白の緩急もじつに確か、愛らしくも凛々しく、割腹しての最期まで満場の賞賛には何の掛け値もなかった。
この芝居は花道の出が数多く、高麗屋はわれわれのために花道ぎわの二列を用意してくれていて、満腹するほど楽しんだ。が、極めつけは、これあるゆえに観
たくて来たくてわくわく待ちかねた幸四郎の大弁慶、菊五郎秀逸の富樫左衛門の鳴り響くような対峙・対決と和合の機微。義経にはいまや極まった梅玉を配し
て、四天王はなんと染五郎、松緑、勘九郎という花形の中の花形に老練の左次。弁慶以下これら面々が花道でわたしの目の前に立ち並んでくれたのだ、そして最
後の最後弁慶の飛び六方の確かな気合いを手も触れんばかりに満喫させてもらった。泣かぬ弁慶が泣き、手をさしのべる義経。豪快な四天王の詰め寄り、弁慶の
磊落にして寸時の油断もない舞踏のおもしろさ。食い入るようにこの大先達の演技を見つめていた染五郎、松緑、勘九郎。いつの日か彼らは弁慶をつとめて奮励
するであろう、その彼らの舞台をも観てみたい。
* 待ちに待った、わくわくして待った柿葺落しに無事出逢えた。よかった。
* もっとも、新歌舞伎座へ向かう地下鉄で、あやうく隣席のお客の膝へよろけたりもしたのだが。
* 四月十四日 日
* 熟睡していた 起床10:00 血
圧124-56(66) 血糖値76 体重64.4kg 午前の前半は、洟。
朝 饂飩 バウムクーヘン 飲み物 午前の仕事 午 漬物で山葵茶漬け 温泉卵一つ 瞬時なれど少し沁みる腹痛
* 高濃度汚染水漏れを続出している福島第一原発は、地下貯水槽を断念して全てタンクに移送しようとしているが、その非常用タンクの大半は満水で残り少な
く、「休憩も惜しんで増設作業」のていたらく、「何かあったらどうする」のか。いくら増設するといえど、増設できる原発内の更地も逼迫している。ほんとに
「どうする」の。政府の責任でもあるのをアベノミクスで浮かれている安倍「違憲」内閣は思い出せ。
規制委田中委員長が福島入りしたのは初めてと。ボケたはなしではある。
☆ 遠さま
返事が遅くなってごめんなさい。
最近 HP をご無沙汰してました。体調のこと心配してます、暖かくなって快復の様子でしょうか?
私は、この所の気温で、足が痛く困っています。温泉では治りませんね、これからもずっとの付き合いです。
お尋ねの「三島神社」は東大路と私の家との間あたりの渋谷通(北側)にありますが、以前の神社の敷地にはマンションが建ちました。その奥に、ひっそりと小さい祠を建ててお祭をされてます。
よく覚えていられますね、
三月、四月は雑用が多くて早く過ごしました、四月始め雨の前に嵯峨広沢の池あたりにある平安郷と、桜守の藤右衛門さんのお庭へ花見に行って来ました。今年の花は早く終わりました。
我が家の椿も色々と咲いてます。白い牡丹もふくらんで来ました、後五日程で咲きそうです。
来月は、南座で、えび様のお芝居が楽しみです。
気候不順の折 体調に気を付けて無理をされない様に 華
* なんとなくそわそわ、なんとなくのびのび過ごした。明日は、待ちに待った新歌舞伎座柿葺落し興行へ。
* 今日も小説にとりついていた。
「Twitter」にも書いていた。アテもメアテも無く、すでに書けてあるものをザンザンバランと推敲して制限の文字数にする、いわば練習のようなもの。
知らない人たちからフォローされつつあるが、そういうことにも関心は、あまり、ない。関わるのは最小時間のいわば一服で済ませたいから。
湖の本116(二下)のゲラが出そろっている。この読みを着実に。
今朝は十時まで熟睡。今夜も、はやめに就寝。
* 四月十三日 土
* 起床8:00 血
圧135-56(56) 血糖値91 体重64.8kg
午前の前半は、洟。
朝 饂飩 納豆 のみもの 菓子 朝の服薬
排便 午前の仕事 午 中華餡饅二つ 温泉卵二つ 飲み物 菓子 午の服薬 午後の仕事 うたたねも。排便 晩 鰈 飯一膳 飲み物 この数日 服薬後に
など 腹部に違和感ときどき 今晩熱い茶を口にしたとき左腹部に小さく十秒ほどの差込む痛み 服薬 晩の仕事
* 諸高裁の一票格差「違憲」判決に対し、自民党内、むちゃくちゃに非難・反抗。高裁、最高裁以外に憲法裁判所をつくれなどと。すべて党利党略、三権分立への公僕達の反逆だ。立法府の傲慢なまでの怠慢を棚上げし、なんら「反省」がない。
憲法がさだめた改正提議へのハードルが高いのは当然、それほど改正は慎重にとの規定なのに、自民党には都合が悪いからと、勝手気ままにハードルを下げよ
うと企む自民党。「国賊」に類する。自民党の一党支配「日本」にしていいのか。胸に手を置いて国民は、昨年末選挙の致命的な過ちを、迫る参議院選挙で改め
ねば、とんでもない「収奪経済至上の反民主主義国」に落ち込んで行く。国民の最大不幸、まさに目前に。
* TPP交渉も、無残に妥協と後退、そして多くの不利を抱えこむだろう、今の米国はじめ国際状勢では。
功に逸る安倍「違憲」内閣の暴走、眼に余る。
☆ マルクス エンゲルス『共産党宣言』(岩波文庫)
大内兵衛・向坂逸郎訳に拠る抄録を今後断続しつつ紹介する。 (6)
・ 生産のたえまない変革、あらゆる社会状態のやむことのない動揺、永遠の不安定と運動は、以前のあらゆる時代とちがうブルジョア時代の特色である。
・ いっさいの身分的なものや常在的なものは、煙のように消え、いっさいの神聖なものはけがされ、人々は、ついには自分の生活上の地位、自分たち相互の関係を、ひややかな眼で見ることを強いられる。
・ 自分の生産物の販路をつねにますます拡大しようという欲望にかりたてられて、ブルジョア階級は全地球をかけまわる。どんなところにも、かれらは巣を作り、どんなところをも開拓し、どんなところとも関係を結ばねばならない。
(秦注・ ブルジョア階級にも、それぞれに背負った国家があり、強い国も弱い国もあ
る。しぜん強い国の支配下で「平等という名目」だけかかげた、ありていに謂えば「ブロック経済圏」が地球上に画策される。かつても何度も試みられた。地球
は四分・五分され、日本も、戦前にその一ブロクの盟主であった、即ち大東亜共栄圏。
今日話題の「TPP」も、本質に於いて何ら変わりなく、この場合「アメリカが盟主国」であることは、安倍「違憲」内閣も頭を低くして阿諛追従のザマを見
ていればわかる。だれも、ことに強国は、平等など胸懐に無く、自国の利益を最大に狙い撃とうとしている。日本は、経済的水準では米国に密接していようと
も、政治・外交的には卑屈なまで「家来」同然であること、途方もなく不平等な「日米地位協定」という現実をみるだけでも、瞭然。
わたしは久しく謂うてきた、外交とは「悪意の算術」だと。「戦後」日本はと、限定しても、日本ほど外交下手な先進国は無く、TPPの「悪意の渦の中」で、安倍「違憲」内閣の「交渉力」の弱さは、情けないまで眼に見えている。ああ危ういかな。)
* 以前に、上野千鶴子さんから、「秦さん、ツイートしたら」と奨められたとき、その意味もよく理解出来なかったが、二三日まえにどこの何方とも知らない
方から「Twitter」に紹介か招待か、してもらった。こころみに登録してみたが、いまだに、キイの扱い方もよく分からぬなりに、またどういうことを限
られた字数でつぶやけばよいのか見当もつかなかった。そんな、他人のつぶやきなど聴いたことも読んだこともなかった。
それでもまぐれ当たりのように現れた「ツゥイート」欄に、次から次へ書き込んでいった。ことは簡単ではなく、ごく僅かな字数制限ゆえに推敲して制限内に
おさめるのはかなり難しい。だが推敲はわたしの商売のようなもの。二三日のうちに80幾つもの「記事」を送り出した。それは呟きとはずいぶんちがう。この
「私語」と同じに、ひとさまに訴えたいことをおそろしく生真面目に書きに書いた、添削しつづけたもの。わたしには述懐したいことは山のようにあるが、吐い
て捨てるような物言いでじゃらじゃらする気は毛頭無い。上野さんのお奨めは、わたしの思いをただ「私語」としてホームページに書きためるだけでなく、ひろ
く遠くまで今まで手の届かなかった大勢をめがけて述懐し主張してはどうかということであったろう。
少しは、政治家や評論家や、一般の人のつぶやきも聴いてみた。諸連絡に利用している人が多く、しかし頷ける意見やばかげた駄句にも出会った。わたしはわ
たしの気持ちを一貫させることで、つまらない時間つぶしからは身を避けていようと思う。何字だっけ、たしか160字ほどの超短章。それを思うまま書いてみ
るのも「文学」的たんれんではあるだろう。
自在に「Twitter」の操れる人は、「秦恒平」の気概をどうぞ汲み取って下さい。
* 今夜も創作中の小説をじっくり追いかけていた。
* 四月十二日 金
* 起床8:30 血
圧124-61(61) 血糖値78 体重64.6kg 午前の前半は、涙、洟。
朝 饂飩 納豆 のみもの 菓子 朝の服薬 散髪
午 錦糸卵の焼き蕎麦 柑橘 ヤクルト 午の服薬 午後の仕事 晩 豆飯 鶏揚げ 飲み物 菓子 晩の服薬 晩の仕事
* 散髪して気持ちよくなった。散髪屋へは歩けば今の脚で五、六分だろうが、敢えて自転車で行った。自転車で転ぶのはたいへん危険だが、二輪の自転車は或
る物理的な障碍がないかぎり、そうは転倒しない身軽さをもっていて、ハンドルにもペダルにも、歩行ほどの負担はない。早くて身軽でかえって疲れない。但
し、今は急な坂の往復は避けた方が良い。
大きな鏡でみるかぎり、わたしの顔にはまだまだ生彩が欠けている。弱々しい。これでは電車に乗り込むとすぐ席を立って譲ってくれるお人が不思議でない。幸い、以前の転倒痛はほぼ治まっている。
☆ マルクス エンゲルス『共産党宣言』(岩波文庫)
大内兵衛・向坂逸郎訳に拠る抄録を今後断続しつつ紹介する。 (5)
・ ブルジョア階級は、歴史において、きわめて革命的な役割を演じた。
・ ブルジョア階級は、人間を血のつながったその長上者に結びつけていた色とりどりの封建的きずなをようしゃなく切断し、人間と人間とのあいだに、むきだしの利害以外の、つめたい「現金勘定」以外のどんなきずなをも残さなかった。
・ ブルジョア階級は人間の値打ちを交換価値に変えてしまい、お墨つきで許されて立派に自分のものとなっている無数の自由を、ただ一つの、良心をもたない商業(=経済・投機等)の自由と取り代えてしまった。
・ ブルジョア階級は、家族関係からその感動的な感傷のヴェールを取り去って、それを純粋な金銭関係に変えてしまった。
・ あからさまな、恥知らずな、直接的な、ひからびた搾取と取り代えたのであった。
(秦注・ 現在の日本で、上の指摘をあまり
にどぎつく傲岸に自身立証し、昨日も今日も明日もわれわれ国民を慨嘆させてやまないのが、福島第一原発をむざむざ人災で大爆発させ、数えきれぬ国民に被
害・避難・別離の危害を加えて、しかも反省も賠償も事故の懸命な回復も怠り続けている「東電」の名と実状とを挙げるのが、適切そのものである。彼らに飼育
されている悪徳「違憲」の代議士や官僚たちも、同類とみなしていい。
家族親族との、ブルジョア階級に顕著な動向としては、上の指摘の露骨な転化・反映である、欲と得との「世襲」志向を挙げるべきであろう。)
☆ 鴉へ 尾張の鳶
再び一か月近く御無沙汰してしまいました。
HPの記載では最近いくらか涙などの状況が緩和されたようで、ホッとしています。が、歯が折れたというのには驚きました。食物の摂取にどうぞくれぐれも留意なさって、蛋白質やカルシウムを摂ってくださいとしか書けないのですが。
わたしも体調に問題あり、MRIやCTなど検査をうけたのですが、悪いものではないだろうということで放免されたものの、それですべて良しという感じでもありません。まあ、それだけ自分も「老人」になりつつあるということです。
今週、奈良博物館での『当麻寺展』に行ってきました。当麻曼荼羅はもちろんお目当てでしたが、京都禅林寺の「山越阿弥陀図」に思いがけず会えたことが一番の喜びでした。昨年十一月から一部分ですが模写していたので、細部まで写真では記憶していました
が、やはり本物に出会えて心いくまで視ることができました。
関西への往復の琵琶湖あたりは、桜は満開をやや過ぎた頃で、存分に桜も楽しみました。相変わらず一羽鳶のふらふら飛行、です。
国内の、鴉がHPで気力精力傾けて書かれている原発等の問題、そして最近の北朝鮮のミサイル云々の問題など、否応なしに突き付けられていると感じます。
友人の一人が鬱で入院しました。以前から懸念されていたこと、それでも何もできなかったと苦しい気持ちがあります。
どうぞ元気にお過ごしください。転倒など決してしないよう、気を付けて。
少しずつ体調が軽快されますように。
* 自在に翔んでゆける鳶がうらやましい。禅林寺の「山越阿弥陀図」とは懐かしい。知恩院の「早来迎図」に向き合ったときの讃嘆も、いまだ胸にある。
昨日の晩にも京都の、建仁寺、宮川町、六原、六波羅蜜寺、清水坂などの地誌を、咀嚼するほどに耽読していた。何といっても京都の風と光と匂いに再会できる日を楽しみにしている。次の桜桃忌ころには、元気になれているといいが。
☆ 近況と御礼
iPadから送信 新らしい湖の本有り難う 御礼が遅くなり申し訳ありません。
貴方の治療も、私とは比べものにならない複雑の様ですねえ 何とか一つでも早くクリヤ出来る事をいのります。
私の方は足に装具をつけての歩行訓練とマッサージを受け、その痛み、一年かけていますが相変わらずです,週二回の訪問リハビリを受けて、月四回のデイケ
アで安らぎの丘に通い、ショートステイで月三泊4日を二回うけています、 クスリは漢方になり痛みに対応していますが,一向に効果が出ず困っています。そ
れでも続けねばなりません、
同じ様な境遇の方が多くおられ家庭では、老老介護が別の問題になってきます。
『京のわる口』は、長女と妻が、読ませていただいております。 茅野市 圭 同窓
* 中学・高校、ことに祇園の新制中学後半、いつも仲良くいっしょだった。軟式野球で、素顔のまま捕手をつとめるような勇気のある敏捷で優しい少年だった。痛みは、さぞ辛かろう、一日も早く快方にと切に願う。
* 『ある寓話 ないし猥褻という無意味』と仮題の小説を、書き継いでいた。楽しんで書いている。
もう一つの小説は、題を書きたくない。
この二つとも、少しも急いで急いで纏めようという気はない。小説家として自分の小説創作を堪能したい。
* 四月十一日 木
* 起床8:00 血
圧118-58(57) 血糖値77 体重63.6kg
涙、洟、少ない。
朝 狐饂飩 納豆 ピーナツクリーム 飲み物 朝の服薬
午前の仕事 午は妻の病院の留守に間に合わせで。 午の服薬 午後の仕事 晩 煎った牛肉を飯にかけて。 苺 飲み物 晩の服薬 晩の仕事 歯抜けは情けないが、ま、食べている。目もかすかに疲れながら見えている。
* 稼働中の大飯原発、防潮堤や作業拠点等に不適合が認められながら規制委は「停止」判断を避けている。規制委が決めた新基準で初めて判断を迫られる大飯
原発で、いきなりの例外扱い。規制委へのどうしても拭えぬ体制に阿諛の欺瞞体質。こんなことで国民は誤魔化し続けられていいのか。骨抜きは許さない。
* いまだに福島第一原発大事故の「原因究明」が為されていない。東電は「想定外の津波で」壊れたとがんばり、大方の専門家は大地震ですでに壊れていたと。徹底現地調査と実験による追及も、ぜひ必要。
そもそも大事故への責任追及もなされていない。とんでもない無責任だ、国民みずからが裁判で追及する以外にない。政府も東電も知らん顔だ。
* 福島の貯水槽のお粗末、ビニールシートを三枚敷いて漏水のない安全貯水を信じていたとは、嗤わせる。結局地下貯水は断念しすべて地上のタンクへと。方
針転換して、さてタンク容量ももはや逼迫、新設にも更地は不足し、構外へは持ち出せない。いよいよ危急到来、でたらめのツケが廻ってきた。便所のない原
発。仮便所も破損。移転先も覚束ない。これはまだ汚染水の事。高線量核廃棄物の便所は、用意すら出来ていない。手づまりに眼をとじて遮二無二稼働し新設す
らもと、安倍「違憲」内閣は狂乱している。
* 日米地位協定の実態については、国民のほとんどが事は沖縄のこととぐらいに無関心でいるようだが、とんでもない。本州、いや首都圏の広い範囲の日本の
領空に日本の飛行機も入れない。米軍が首都の上空を排他的に占領したままでいる。羽田から西へ飛ぶ飛行機がまっすぐ西へ飛べずに一度南の海へ出ているのを
知った人は多いはず。しかし、それが日本領空を米軍が占領支配したままだからとは、知られていない。
「日米地位協定」の徹底改善・停廃は、われわれの重大な懸案であることを、此処に言い置く。
* 俳優座劇団代表だった女優大塚道子さんとの「お別れの会」へ劇団からお誘いがあった。俳優座とはもう半世紀近い親密のなかで、わたしは大塚道子
の舞台をいつも敬愛してきた。わたしの脚色した、ラボ教育のための『かぐやひめ』では、大塚さんがかぐやひめの媼役で録音して下さった。竹取の翁役も、さきごろ亡く
なった名さん優だった。
大塚さんとは劇場で出会うといつも静かに懐かしい会釈があった。「お別れの会」は稽古場でと案内されている。体調がよければ、と、思う。
☆ 拝復
湖の本 第115巻を有難く頂戴いたしました。病との戦い、抗癌剤との苦戦の中に、厳しい時評をパソコン相手に叩き込まれる秦さんの勇姿に感服いたします。この気力がきっと病をも撤退させましょう。TVにも目配りされるとは驚嘆するばかりです。
小生も最寄り病院を決め、カルテの山を築きながら、もう一冊、いやもう一本の論文をと思いますが、ともすればくじけそうです。
BSプレミアムでの映画鑑賞が唯一の楽しみです。
御本と秦さんの生き方に感謝しつつ、取り急ぎ御礼を申しあげます。
奥さまたちも御自愛ください。 早々 名大名誉教授 国文学者
* 立教大名誉教授の平山城児さんから、「蘆江怪談の原点」と題した論攷を頂戴した。先だっての蘆江論攷も以前に戴き読んでいる。平山さんからはいろいろの論攷でいい刺激を受け続けてきた。若返る。元気を戴くのである。
☆ 動物を描いた作品による本展が
朝日新聞で大きく取り上げられたお蔭で、普段よりは少し多いくらいのお客様が来られます。けれどアベノミクスで高揚している輩は画廊には来られません。
先生の「批評精神」山積みの「ペンと政治」、よくも根気よく続けられるものですね。
私たち平民はおよそ文句を口にすることにも疲れ果て、どうせ何もかもダメになるだけやん、と、やけっぱちになるのがオチ。
せめて自分に与えられた仕事だけはきっちりやるだけ、とうそぶいているのみ。
先生に与えられた「仕事」はペン。辛いお仕事ですね。
でもそれがある故、悲憤を糧にして毎日のペースを掴めておられるのでしょうか。
病気回復と変わらぬご健闘を祈願しています。 京 神宮道 星野画廊
* 民主党の馬淵澄夫氏から、激励への礼信が届いた。小沢一郎事務所がわたしのツイートをフォローすると通知してきた。
* 四月十日 水
* 起床7:30 血
圧134-65(56) 血糖値88 体重64.5kg
涙、洟、少ない。
朝 饂飩 納豆 飲み物 朝の服薬 排便 ついで軟便 午後の仕事 三時半に歯科へ。折れた歯三本の正面の一本に仮の差し歯を補って貰った。 石神井公園
駅だと意識しながら、気づいたら六つも先の秋津駅を電車が出るところ。仕方なく次の所沢で下車、池袋行き急行をひばりヶ丘で各駅に乗り換えて、帰宅。 晩
大して食べず。 入浴して 晩の仕事。
* 福島原発で汚染水漏れ貯水槽の水を別の場所へ移送して抑える筈が、移送先貯水池でも水漏れすると判明。汚染水計画は早くも破綻。東電の弁明は無意味と
化し、貯水池の構造上の欠陥が原因と見えてきた。東電は早急な汚染水処理の計画練り直しを迫られているが、東電任せでいいのか。規制委の危機感まりに薄
い。このままでは地下水脈をへて海を汚し出すのは眼に見えている。現状では汚染水の移送先が無いことを規制委は仕方がないとたた腕組みし、「漏れは少な
い」などと寝言を言うている。
* 東電の「賠償」が進展しないどころか、故意に勝手なリクツをつけては停滞によるなし崩し責任逃れを策しているとしか見えない。五年は戻れない飯舘村長泥地区への賠償など、満二年経て何も進んでいない。
* 規制委は今日、原発再稼働の前提となる新しい基準案を示したと東京新聞は夕刊で報じている。独立で原発の制御、冷却を続けられる第二制御室の精微新設
を、新基準が七月に施行されて以降五年間も猶予するというのは、既にして骨抜きではないか。猶予を認めているのは、第二制御室のほかにも、停電時に備えた
三系統目の直流電源もしかり、関西電力大飯原発などの加圧水型軽水炉にはベントのフィルターにも猶予を与えている。これでは世界一の厳格な基準と誇る舌の
乾くも何も最初から抜け穴を何本も通しているに同じい。七月の早々から規制委は再稼働の申請を受け付けると。参議院選挙後の委員会自体、規制庁自体の露骨
な骨抜きが案じられてならない。
* 教科書検定の一つの眼目として「日本に誇りをもたせる」と文科相は云う。一つ間違えば、列島に五十もの原発を備えているのを誇らせたいかと心配にな
る。「誇り」には社会的・民族的な誇りと個人的・人生上の誇りもあり、新のエネルギーになるのは後者だ。北朝鮮の兵や一部市民はいかにも「誇り」高げであ
るが、すべてへて日本が軍国主義のもとに体験してきたとんでもない誇りであった。繰り返しては恥ずかしい。政治体制は国民の医師で変えられる。そんなもの
に誇りの根をもっては国を誤る。日本は優れた文化国家である。「文化」に、ことに精神文化にこそ誇りを持ちたい。
* 緊急に歯医者に走って、上の右に三本も欠け落ちた歯の正面近いのへ緊急、仮の差し歯を入れてもらってきた。まだまだ長い間歯医者に通わねばならない。ぐらついている歯がほかにも二、三有る。やれやれ。
☆ マルクス エンゲルス『共産党宣言』(岩波文庫)
大内兵衛・向坂逸郎訳に拠る抄録を今後断続しつつ紹介する。 (4)
・ 大工業は、すでにアメリカの発見によって準備されていた世界市場を作りあげた。世界市場は、商業、航海、陸上交通にはかり知れない発展をもたらした。 ブルジョア階級は発展し、資本を増加させ、中世から受けついだすべての階級を歴史の背後におしやった。
・ 大工業と世界市場とが建設されて以来、ブルジョア階級は近代的(=現代・今日の)代議制国家において、ひとり占めの政治支配を闘いとった。近代的(=現代・今日日本の)国家権力は、単に、全ブルジョア階級の共通の事務をつかさどる委員会にすぎない。 (秦注・ 国家権力は、単に、全ブルジョア階級の共通の事務をつかさどる委員会にすぎない、とは、何という適確な指摘であることか。
「全ブルジョア階級」といえば厖大な結集に想われやすい、が、まことに厖大なのは、彼らブルジョア階級が
所持し私有する「資本と生産手段」と賃金を惜しんで使い捨てて行く「使用人」たち(=まさにいわゆる労働者・月給取り・非正規雇用者という名のプロレタリ
ア階級意識を)のことなのであって、名実を備えた「ブルジョア階級」など、信じられぬほど数少ない。強いて日本でいえば経団連や経済同友会の会員たちとほ
ぼ同じとみていいだろう。
資本主義社会とは、そういう、えげつない社会である。そのえげつなさに、昨今の安倍「違憲」内閣や、内閣支配に屈服した日銀が専ら卑屈なほど奉仕しているのだと観測すること、すこしも不可能でない。
原発爆発の危害が終熄せず、復興も賠償もそっちのけで、あの悪辣な東電はじめ電力企業などによかれよかれとばかり法制も行政も奉仕している。そう観て歎いている日本人はけっして少なくないはずである。
しかも「最大多数」の日本人のあまりに多くが闘うべき階級意識を失い果て、無考えにブルジョア政権に投票し賛同しなにかしらおこぼれを期待しているのが、現況・実情ではないのだろうか。如何。)
* 四月九日 火
* 起床9:00 血
圧134-63(63) 血糖値90 体重63.8kg
涙、洟少ない。
朝
苺 ミルク 砂糖 パン少し 飲み物 朝の服薬 排便 午前の仕事 午 素饂飩 飲み物 午の服薬 午後の仕事 さすがに視力また少し弱っている。 晩
焼き蕎麦 苺 飲み物 晩の服薬 そのあと加賀鶴来の万歳楽原酒「剣」を富士夫作のぐい呑みで、たてつづけ三倍。久しぶりの飲酒。酔って、宵寝。 晩の仕事
* 元国会事故調委員長らが、挙って、東電福島第一原発の「汚染水漏出」とか「ネズミで停電」とかのいわばケアレスミス等に対し「明らかに大事故以来何一
つ収束していない」と衆議院特別委で繰り返し抗議と遺憾の意を表明。当然の言及であり、国会にも行政府にも当の東電にも、怠慢を厳しく咎めたい。「事故は
まだまだ続いている。」東電も行政も国会も、馬耳東風ではないか。
原子力規制委は、適切な「代替策が無い」というお手上げの理由から、福島第一の「汚染水漏れ貯水池」の継続使用を容認している。漏れ原因は特定できてい
ない。経産省は東電社長を呼びつけて「絶対に海に流すな」と厳重に命じていたが、海以前に、地下水や用水への浸入を防がねば。
まさしくまさしく福島原発事故はなんら「終熄はおろか収束も出来ていない」。国民の被害感も絶望感も終わらない。元事故調が「国会主導で再調査を」と監
視強化を迫っているのは当然の要請。ところが東電では、今度は汚染拡散防止用の「海中フェンス破損」を露呈している。「海を汚すな」という経産大臣の命令
も漁業者の憂慮も、このままでは憂慮どころでは済まなくなる。
どの監督官庁の誰が責任をとるのか。
☆ マルクス エンゲルス『共産党宣言』(岩波文庫)
大内兵衛・向坂逸郎訳に拠る抄録を今後断続しつつ紹介する。 (3)
・ 中世の農奴から、初期の諸都市の城外市民(ブファールビュルガー)が生れ、ブルジョア階級の最初の要素が発展した。
・ アメリカの発見、アフリカの回航は、頭をもたげてきたブルジョア階級にあたらしい領域を作りだした。東インドとシナの市場、アメリカへの植民、諸植
民地との貿易、交換手段やまた総じて商品の増大は、商業、航海、工業にこれまで知られなかったような飛躍をもたらし、それとともに、崩壊していく封建社会
内の革命的要素に急激な発展をもたらした。
・ 封建的もしくはギルド的経営様式は 工場手工業(マニュファクチャ)がそれに代った。 個々の仕事場自身のなかの分業もあらわれた。 市場はますます増大し、需要はますます上昇した。工場手工業(マニュファクチャ)もそれには応じきれかった。
・ このとき蒸気と機械装置とが工業生産を革命した。 近代的(=現代・今日的)大工業があらわれ、 工業的百万(=何兆万)長者、全工業軍の司令官があらわれた、すなわち近代(=現代・今日の)ブルジョアである。
(秦注・ 上の推移は、日本では、いままさに暴威をふるう東電はじめ特権独占超大工業の電力企業に、特徴的に達成されている。その政治的支持を、経産省ないしブルジョア内閣さらには同質の国会多数が担当している。そう観て、どこに誤解が有ろうか。)
☆ 有感 白楽天 往時は追思するなかれ、追思すれば悲愴多し。
来時は相迎ふるなかれ、相迎ふれば已に惆悵。
兀然として坐するにしかず 塌然として臥すにしかず。
食来れば即ち口を開き 睡来れば即ち眼を合す。
二事最も身に関す。
安寝餐飯を加へ。
忘懐行止に任せ。
命を委して脩短に随ひ。 脩短 寿命の長短
更にもし興来るあれば、
狂歌して 酒一盞せん。
* ああ、まこと、かく在りたい、が。
* 加賀鶴来の万歳楽醸、原酒「剣」一升が届いた。「狂歌して酒一盞」と行くか。あーあ、それどころか、歯が二本も短時日の内に折れて落ちてしまった。爺むさいなあ。「安寝」には恵まれているが「餐飯を加へ」ることもママならなくなってきた。明日、飛び入りでまた歯医者へ、独りで。
* あれこれやっていると、頭の中での交通整理能力が停頓してくる。そんなときは機械を離れて良い本を読むのが佳い。
幸いに、機械のそばに積んである高田衛さんに頂戴した大冊『上田秋成年譜考説』は、記載・記述の両面で、絶好。『臨済録』も絶好。『捜神記』も、『十訓抄』も絶好。『陶淵明集』も『白楽天詩集』も絶好。『共産党宣言』も絶好。
昨日ちょっとした用事で、書庫のなかの、ま、哲学・美学・藝術學・宗教学の文庫本百数十册から一冊を捜していて、ほとんど全部を手にし、嘆息。読みた
い・読み返したい懐かしい本がわんさと在るのに、いっそ悲鳴をあげてしまった。これはまあ、容易に死ねないなあと現世的な欲望が湧いてしまい、落ち着かな
かった。書庫の夥しい全蔵書となると、実は通路もまともに歩けないほどの氾濫で。
わたしがいなくなれば、いったい、どう処分されてしまうやら。
* 原酒の「剣」があまりの美味さに、気に入りのぐい呑みで、くうっくうっくうっと、三酌。お腹に何の違和もなく、いい機嫌でしばらく宵寝した。ながいあいだ、家では、ちっちっちっとしか酒類を口にしなかった。久しぶりに酒を飲んだ。美味かった。
* 四月八日 月
* 起床8:40 血
圧121-56(53) 血糖値69 体重64.0kg
涙、洟少ない。
朝
ホットケーキ二切れ ヤクルト 珈琲ドリンク 朝の服薬 午前の仕事 昼 焼き蕎麦 ほか飲み物 午の服薬 午後の仕事 三時半、江古田二丁目の歯科
へ。一路帰宅。 晩 酒蒸し餡のパン二つ ビスケット 甘納豆 ピーナツ 飲み物 文旦柑橘 晩の服薬 大冊の事典二種を引きつけ茶の間で読み耽る。 小
さな文字の記事を裸眼で読みふけれたのが有難い。
* 湖の本116の後半三分の一ほどに、跋文、あとづけ、表紙添えて 要三校ゲラ送り返す。前半部の再校読みも進捗している。
* 福島第一原発では、放射性物質を含む汚染水の地下への漏出が、少なくも三月二十日、四月三〜六日、四月五日六日に連続しそのつど放射性物質を計測して
いるのに、水位低下と放射性物質検出を介しての原発危険予兆を、ただ単に「事象」と見てほぼ問題視すらしてこなかった。タンク詰め汚染水貯蔵の「危機」
に、ようやく気づいてきたという無籍欄極まるていたらく。地下への漏出は地下水流への汚染と拡大を、さらには海水の汚染や拡散に至ること必至で、重大な環
境への加害が進行する。また「放射能濃度」の東電計測値にも「処理水の値は使わない」など、重大な誤魔化しが平然と、気づかなかったというフリで、なされ
つづけてきた。
環境庁等の監督官庁は何をしているのか。
* 新聞への投書に注意していると、適確な発言が目につく。たとえば「疑問だらけ 新規制基準」に関しても、「多くの住民が求めたのは原発の安全運転では
ない。原発そのものが危険だから<原発ゼロ>をめざすことだった。」「活断層調査も結論先送り」で、訝しいことばかり、と。「原子力規制委員会」の政治圧
力や利権の誘惑に負けない正義と公正の断行をわれわれは強く要求する。
* 株価の大幅高など、無縁の国民にとって何の恩恵であろう。およそ株式の売買など、要は「ものもち」「かねもち」達のマネーゲーム、いわば「経済幻想賭博」のようなもの。政府も日銀も、根底で勘違いしている。それらが国民の幸福にどう繋がるのか、なんらの言い訳も無い。
☆ マルクス エンゲルス『共産党宣言』(岩波文庫)
大内兵衛・向坂逸郎訳に拠る抄録を今後断続しつつ紹介する。 (2)
・ 歴史の早い諸時期には、われわれは、ほとんどどこでも社会が種々の身分に、社会的地位のさまざまな段階に、完全にわかれているのを
見出す。古ローマにおいては、都市貴族、騎兵、平民、奴隷に、中世においては、封建君主、家臣、ギルド組合員、職人、農奴にわかれていた。なおそのうえ、
これらの階級の一つ一つのなかが、たいていまた別々の階層にわかれていた。
・ 封建社会の没落から生れた近代ブルジョア社会は、階級対立を廃止しなかった。この社会はただ、あたらしい階級を、圧制のあたらしい条件を、闘争のあたらしい形態を、旧いものとおきかえたにすぎない。
・ しかしわれわれの時代(=今日も含めて)、すなわちブルジョア階級の時代は、階級対立を単純にしたという特徴をもっている。
・ 全社会は、敵対する二大陣営、たがいに直接に対立する二大階級――ブルジョア階級とプロレタリア階級に、だんだんわかれていく。
(秦注・ 今日の日本では、だがもはや<プロレタリア階級>という意識自体が雲散霧消し、<ブル
ジョア階級>と大きく対立する政治勢力は事実上存在していない。事実、<プロレタリア階級>を支持し守っていくはずの、曾てはまさにさように存在していた
「社会党=社民党」が、今日もはや解党直前の死に体にひとしい現実が、それを示していて余りある。現在の日本社会では<プロレタリア階級>を結束させる指
導団体(=<ブルジョア階級>のための経団連等に相当する)は、対立勢力の、顕著また隠微に猛烈な「政治的」攻勢を受け、すでに完全に壊滅している。
それを以て謂えば、すくなくも日本において『共産党宣言』当時の時代把握は過去形と化しているというしかなく、もしもそれに自己責任を問うならば、すべ
て日本の<プロレタリア階級>が無自覚に自身の政治的権利を対立階級の前に抛ったこと、関係政党が自身の存在理由や根拠を無防備にみずから放擲したこと、
対立勢力の攻勢意図を完全に見誤っていたこと、が挙げられる。政党は支持者を失えば国会での議席も失う。現実はまさにそれを暴露している。)
* 三時半、歯科へ。治療後一路保谷へ。駅構内で買い物して帰宅。
晩は、茶の間へ持ち出した大冊の「京都市の地名」また「京都市東山区」とある地誌と歴史を、ひたひたと耽読、多く朱筆を用いた。面白くてやめられなかったが、まだまだ百の一しか読めていない。落ち着いて、そして脳裏に新たな起爆剤を埋め込みたい。
大事典の小さい文字を裸眼で「読める」「読み耽れる」のが有難い。
東山区は、いわばわたしには「家の庭」のようであった。うまい水を吸い込むように記事が頭に入ってくれる。
* 今は、「臨済録」を読んで。もう十一時半。今週は、外へ出る用事無く、仕事、仕事を楽しめる。
* 四月七日 日
* 起床8:40 血
圧123-62(58) 血糖値81 体重64.3kg
涙、洟少ない。
朝
釜揚げ饂飩 納豆 大蒜 珈琲ドリンク 出汁 ヤクルト 昆布茶 朝の服薬 しかとは謂えないが ちかごろものを食したり服薬したり少量の酒類を口にした
りしたあとに、かすかながら腹部の痛みまたは違和を感触する。 視野や視力はよほど改善している。 夜 入浴。
☆ マルクス エンゲルス『共産党宣言』(岩波文庫)
大内兵衛・向坂逸郎訳に拠る抄録を今後断続しつつ紹介する。 (1)
・ 今日までのあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である。
・ ブルジョア階級とは、近代(現代・今日)的資本家階級、すなわち、社会的生産の諸手段の所有者にして賃金労働者の雇用者である階級である。
・ プロレタリア階級とは、自分自身の生産手段をもたないので、生きるためには自分の労働力を売ることをしいられる近代(現代・今日の)賃金労働者階級を意味する。
・ 書かれた歴史に先行する社会組織 共同の土地所有をもつ村落共同体は、インドからアイルランドにいたる社会の原型であることが発見された。
・ この本源的な共同体の解体とともに、別々の、ついにはたがいに対立する諸階級への社会の分裂がはじまる。
・ 要するに圧政者と被圧制者はつねにたがいに対立して、ときには暗々のうちに、ときには公然と、不断の闘争をおこなってきた。この闘争はいつも、全社会の革命的改造をもって終るか、相闘う階級の共倒れをもって終った。
(秦注・ ないしは、延々と一方的な制圧・支配の社会や国の体制が持続しつづけ
た。われらの日本国では、支配階層同士の葛藤や暗闘や戦闘は繰り返されたが、いまだかつてプロレタリア階級と目される者らの闘い勝ったためしは、かすかに
短期間な一揆や反乱の成功を除けば、唯一、地下(ぢげ)に平伏し跪座した「侍」層が、公家(くげ)精力に拮抗し新支配層としての武家階級を確立したまで
は、全く無かったのである。明治維新にしても支配層の横滑り交替が有ったに過ぎないし、軍が解体された第二次大戦敗戦後も、典型的なブルジョア支配の政治
がおやみなく圧政を恣にしていること、日々に見る通りである。 )
* 歴史を、まざまざと眼に見る思いがする。今日の日本の不幸は、こういう学習が徹底的に欠け落ちている点にある。学生たちは意識を失い、労働者は臆病をきわめ、共にひたすら利己的に隘路をすりぬけよう、すりぬけられると儚い夢を見ている。
* 四月六日 土
* 起床10:00 血
圧129-58(63) 血糖値82 体重63.7kg
こころもち涙、洟少ない。
朝 掻き揚げ饂飩 タフマン 珈琲ドリンク ヤクルト 朝の服薬。 そのまま階下で湖の本116再校ゲラを一気に40頁ちかく裸眼で読んだ。読めた。視力
が格段に回復してきているか。休薬の効果か。但し癌細胞を体内に生存させていては意味がないけれど。医師の判断をいつも善処と信頼するのみ。 午抜く。
午後の仕事 晩 色ご飯二膳 ほか飲み物 晩の服薬 晩の仕事。 眼の調子が顕著によくなっている。読みも書きも好調を取り返しつつある、但し休薬という一種の実験なのではあるが。それでも、先々へ期待がもてる。心強い。
* 都立大学名誉教授の高田衛さんから、抜群の代表作といえる『上田秋成年譜考説』の「完本」(ぺりかん社刊)を、「恵存 秦 恒平様 二○一三年 四月五日 高田衛
印」の署名入りで頂戴した。発売予定の十日前に、である。これぞ、高田さんと出逢いの貴重極まる一書であり、「年譜」とは何であり何であるべきかを深切に
教えられた希有の教訓一巻であった。不幸かつ残念きわまりなく、本書に深く学んだ適確な「上田秋成関連」作を、わたしは創り上げられずに今日に至った。高
田さんにも、また学生時代以来応援してくれた長島弘明現東大教授にも申し訳できない。
わたくしへの生き生きとした刺激の蘇りも願い、学問・研究とはいかなるものかというあらためての感動も得たく、さらには学問・研究を真剣に志す若い学徒達のためにも、高田衛さんのお手紙と、長島弘明さんの「解説」をも、あえて広くに紹介させて欲しい。
☆ 前略
お身体いかがでしょうか。案じております。
旧著を再刊しました。
長島君が解説を書き、學兄がこの本を認めて下さったことを書いています。
ご自愛専一を祈ります。
二○一三年 四月五日 秦 恒平様 高田衛
☆ 高田衛著『上田秋成年譜考説』 解説 長島弘明 (東京大学教授)
私的な回想から始めることをお許しいただきたい。昭和五十年、大学四年生になって仏文から転科した私が、時間的な余裕もないままに卒業
論文のテーマを上田秋成に決めた時、傍らにあったのが、今回復刊されたこの本の原著にあたる明善堂書店版の『上田秋成年譜考説』のコピーであった。秋成で
卒論を書く学生のご多分に漏れず、私も中村幸彦氏校注の日本古典文学大系版の『上田秋成集』、鵜月洋氏著・中村博保氏追補の『雨月物語評釈』、中村博保氏
編の日本文学研究資料叢書『秋成』を買ったが、昭和三十九年発行の『上田秋成年譜考説』と、同じく高田先生の昭和四十三年刊の『上田秋成研究序説』は、当
時すでに学部学生には手が出ないほど高価で、現物を手元に置くことはできなかった。『研究序説』は、当時の研究室にはそれしかなかった、薬品臭く、何年か
経つと日焼けして文字がむら消えする湿式コピーで複写した。しかし『年譜考説』の方は東大の国文研究室では紛失本になっており、図書館にもなかったので、
慶応大学に通っている高校時代の友人に借り出してもらい、その頃は高価だった普通紙のコピーをとった。私は製本屋で簡易製本をしてもらったこのコピーに書
き込みをしながら、卒業論文も修士論文も書いた。そのコピーは今も手元にある。在庫が眠っていないかと、確か明善堂書店にも直接行ったことがあるように記
憶するが、当然のことながら手に入らなかった。因みに、私が『年譜考説』と『研究序説』の念願の原本を手に入れたのは、職を得て初めて賞与なるものをも
らった時である。
卒論は『雨月物語』のまことに雑な作品論で全く取るところのないものだったが、『年譜考説』を繰り返し読むという得難い経験を通して、伝記的事実の考証
という一見無味乾燥な研究が、そうではなく、史上の人物の豊かな表情を生き生きと再現することのできる営為なのだということを感得した。年譜考証は、文学
的秋成像を描くための確固とした方法である。中村幸彦氏が『上田秋成集』において、注釈という行為を中村秋成を描く一つの方法として再生させて見せたよう
に、高田先生もまた年譜考証を、高田秋成を語るに足る方法として新たに提示して見せたのである。故日野龍夫氏は、著書『服部南郭伝攷』の「あとがき」で平
石直昭氏の『荻生徂徠年譜考』に触れて、「私は野間光辰先生の『刪補 西鶴年譜考証』、高田衛氏の『上田秋成年譜考説』、丸山季夫氏の『泊洦舎年譜』と併
せて、昭和の年譜四天王と呼びたい」と言っている。日野氏の『服部南郭伝攷』自体が、平成の名年譜の筆頭に
置かれるべきものであるが、それはさておき、炯眼の近世文学研究者が選んだ年譜四天王は、いずれも厳格な事実の考証の背後からその人物の体温や時代の息吹
が伝わってくる本である。卒論を書いている時の私には、『年譜考説』の中に秋成の顔が確かに見えたのである。
例えば、宝暦五年(一七五五)、秋成二十二歳の年に立項された「○某月、姉が家出し、父茂助に勘当された」の箇所や、宝暦十年に立項された「○某月、
(この年か)柿が死ぬ」の箇所の解説は、秋成の義理の姉が恋愛問題から出奔した前後の経緯を記し、その姉夫婦の娼家経営説にまで触れる。語弊があることを
承知で言えば、この解説は極上の短編小説を読むような感がある。この姉の家出の一件にふれる秋成の『自伝』がそもそも小説的な解釈を促すような文章である
からだが、著者が描き出す「浮浪子(のらもの)」でありながら「心直き」秋成像は、小説中の登場人物のように生動している。『自伝』の短い記述から、秋成
自身はもとより、養父茂助や、茂助の実子である義姉の心理の綾にまで分け入るようにして書かれた解説には、あたかも『蒙求』の数行の記述から、家族の心
理的なドラマを一篇の和文で作り出した秋成の「郝廉留銭」(『藤廉冊子所収)と同質の想像力がうかがえる。もちろん、この解説はあくまでも年譜的な事実考
証であって、小説のような奔放な、あるいは故意な空想の産物ではない。著者は、秋成が娼家を営んだという誤伝の源は、姉夫婦の生業が娼家経営であったから
ではないかという考えに傾きつつも、「姉の生業を推定するに足る資料がない現在、これを断定することは、もちろんできない。姉の生業は、いま不詳とすべき
である」と言い切っている。小説ならば許される魅力的な想像から引き返し、禁欲的な文章のうちに踏みとどまろうとするのが、本書に一貫する著者の姿勢であ
る。にもかかわらず、ここには生身の秋成がいる。否、にもかかわらずではない。生々しい秋成の姿は、ギリギリまでの想像力の駆使と、根拠のない夢想への断
念を同時に抱え込んだ禁欲的な文体によってしか現れてこない、と言った方が正確であろう。著者が三十代前半にしてこういう文体をすでに獲得しているという
事実は、私には奇跡のように思われる。
本書の復刊を私は早くから望んでいた。今、原著の 『上田秋成年譜考説』を手に入れることほ、それがすでに難しかった私の学生時代に比べても格段に困難
であることば間違いないが、今の研究者、とりわけ若い方々に是非本書を手元に置いてもらいたいからである。秋成の論文を書く時に、当該年の事績を確かめる
だけに本書は播かれるべきものではない。また秋成を専門とする研究者のみに利用されるべきものでもない。秋成研究や江戸文学研究の専門家に限らず、できれ
ば文学研究を志す人すべてに本書を読んでもらいたいと思うのは、江戸文学研究における伝記研究の意義などという範囲をはるかに越えて、そもそも文学研究に
おいて資料を読み込むとはどういうことか、対象と切り結ぶ方法を自前で考え出すとはどういうことか、そういう根源的な問題を考えるためのヒントが、本書に
は無数にちりばめられているからに他ならない。原著の刊行からほぼ半世紀を経て、その後に出現した資料により、あるいは著者自身の考えの変化により、当然
増補や訂正を加えることができる箇所もあろうが、ほぼ原著のままの姿で復刊がなされたことを、むしろ個人的には喜びたい。秋成研究に与えた衝撃と、長く秋
成研究を牽引してきた本書の研究史上の意義に照らして、本書は原著のままの復刊が望ましいし、微細な錯誤の訂正や新事実の付加によって、本書に描き取られ
た秋成像が変わることはあり得ないからである。揺らぐことのない一つの完成された秋成像であり、それを補訂するためには、全く別の方法によった新たな秋成
像を描くしかないのである。
『年譜考説』 の末尾に添えられている四つの別論は、秋成伝を考える時、否、秋成の文学を考える時に、もっとも重要な問題を取り上げている。後続の秋
成研究は、この別論を橋頭堡として前進してきた。私が調べた秋成の実母も、別論一の延長に過ぎない。宇万伎入門は私は現在は明和八年と考えているが、考証
の範はいうまでもなく別論二である。『雨月物語』の成稿についてはまだ様々な考え方があるが、依然として別論三が研究者共通の出発点になっている。本居宣
長との論争に関する別論四も、その後の本居宣長記念館所蔵の 「上田秋成の答書」「菊屋主に贈る書」の出現によって、「洞見に満ちた論考」(大久保正氏
『本居宣長全集』第八巻解題)であることが実証された。別論のことごとくが、文人秋成の本質に関わる問題提起である。この問題提起に対してどういう違っ
た答案が書けるか、この別論は秋成研究者に対する課題であり、少し大げさに言えば試金石だと私などは思いながら研究を続けてきた。
人との出会いは僥倖による。同じ時代、同じ空間にたまたま居合わせたという僥倖である。私は大学院に入って、高田先生と会うことができた。著書を初めて
読んでから、二年はど後のことだったろうか。実は偶然というわけではなく、知り合いだった高田門下の二村文人さんに、先生に是非一度お引き合わせいただき
たいと懇願したところ、ちょうどその頃、高田先生を囲んで日本文学協会の近世部会を復活する準備が稲田篤信さんらを中心に進んでおり、その会に出たらいか
がですかと、高田先生から二村さん経由で言っていただいたものだった。爾来、高田先生には研究に関して現在に至るまでずっとお世話になり続けているが、そ
の出会いを準備してくれたのは『上田秋成年譜考説』と『上田秋成研究序説』 である。良書とのめぐり合いもまた僥倖によるとすれば、昭和五十年頃の時期
に、秋成研究を志した偶然に感謝しなくてはならない。昭和四十年前後の秋成研究の黄金時代の熱気がいまだ冷めやらぬ時期に『上田秋成年譜考説』を熟読する
機会を得たことが、その後も研究を続ける大きなきっかけとなっているのである。作家で大の秋成通、秋成贔屓である秦恒平氏の「秋成と袋町」(『上田秋成全
集』第十巻月報)という文章に、「高田衛氏の論文にたまたま触れ、猛烈に刺激されて、まだ勤めのある時分であったが、やむにやまれずぶっつけに御所市まで
出向いたものだ、聳える金剛・葛城をさながら仁王立ちのようにふり仰いで、なぜか嬉しくて嬉しくてしかたなかったのを思いだす」ということばがある。「高
田衛氏の論文」というのは、言うまでもなく本書の別論一である。これは『上田秋成年譜考説』に対する最高の讃辞である。私も後に初めて御所に行った時に、
秦氏と相似た感情に襲われた。本書の文体は平明だが、論理の力強さと、静かな熱狂ともいうべき対象への思い入れが、読者を虜にする。私は何度、この本に叱
咤され、鼓舞され、突き動かされ、また居住まいを正させられたことか。そういう経験を、復刊された本書によってさらに大勢の方々に持っていただきたいと切
に願う。 長島 弘明 (東京大学教授)
* 懐かしさと感謝の思いで涙を堪えきれなかった。長島さんは、学生のころ東大五月祭にわたしを呼び入れにこられて初めて出会った。今も、著書をいろいろ
頂戴し、湖の本も応援して頂いている。もとより高田さんとの書物や消息の交換は絶えることなく、いま、こうして世紀の名著を「完本」として賜ったこと、生
ける甲斐あった思いである。生きてきた時代に、感謝を寄せたい。
* うってかわって心地悪しい話だが、朝日新聞の四月三日付けを手にして、「迫る4月危機『原電守れ』」「巻き返しへ 電力業界動いた」という大見出し記
事を見た。こんな見出しを読者がただ見ただけで済ませば、この新聞社は、原発擁護・原電支援だと読み取っても仕方がない。記事自体は必ずしもそうではない
客観的な筆致で、「原電の経営」が必然逼迫していて、この四月に決済上の危機が来ているのを、関連支援機構があやうく危機回避に手段を費やしていると報じ
ている「だけ」と読める。だが、こんな大見出しを立てる姿勢には、朝日と限らず大手各紙の巨額広告主「原発・原電」に対するいかにも「腰の引けた」追従の
気持ちが見て取れる。なんとも、気分がわるい。
* 福島第一原発3号機の「使用済み核燃料プール」で冷却装置がまたまた「三時間も停止」事故を起こしている。冷却装置にネズミなどが入らぬよう金網を
張っていて、針金が端子に触れ異常電流が流れたため、と。動力盤に電気の流れを一時停めて金網作業すれば問題なかったのに、冷却装置を暫時停止しないまま
金網設置に針金を用いたために異常が起きたと東電は認めている。不注意・不用意な安直を機器は敏感に咎めた。こんな危うい「危機管理」感覚が途方もない大
惨事の引き金を引いてしまうことにもなる。たんに東電の不用意姿勢だけでなく、監督官庁の重大な怠慢でもある。
* 栃木県で「県指定廃棄物処理促進市町村長会議」が初会合、国と県との意向が真っ向対立してお話にならなかった。福島第一原発事故で発生した放射清セシウム濃度が1キロあたり8000ベクトル超の「指定廃棄物」最終処分場の悶着である。
* 大きく扱われていないが、福井県内の原発、関電おおい町の大飯原発と美浜町の美浜原発、日本原子力発電の敦賀原発、日本原子力研究開発機構の高速増殖
原型炉「もんじゅ」と新型転換炉「ふげん」(ともに福井県敦賀市)から30gキロ圏内に在る滋賀県が、上の三機構との間で「原子力安全協定」を結んだ。安
全確保のために滋賀県職員が現地確認できる権限など13項目が盛り込まれたと報道されている。嘉田滋賀県知事による「安全確保への一歩」に相違なく、同様
例が全国で連動確立されることが望ましいと云うよりも必要と考える。事業者と国とが、これに伴う経費等を負担するのが当然であろう。
* 東京新聞社会部の小林由比さんが「原発関連死」を見逃すなと署名記事を書いていた。福島で認定されている震災関連死は千三百人余り。このうち、「原発
事故関連死」は東京新聞の集計で、「少なくとも七百八十九件」に上っているという。これは「死」に至った被害だが、ほぼそれに同じい苦痛と懊悩に今も悩み
つづけている生存被災・被害者の数は百倍も在ろう。原発問題は「収束」したなどと空疎な認識を公言したあの民主党野田佳彦総理の声と顔とを想い出すつど
「反吐」が出る。自民党安倍「違憲」総理は、野田表明を真っ向否定はしたが、それは新たな「原発擁護と推進」姿勢の逆立ちした認識表明にほかならない。
こういう指導者を選んでしまった国民われわれの責任も小さくない。
* 39ファィルもの、2012年(平成二十五年)「私語分類」を遂げて送って来て頂いた。なんとお礼を申して良いか、言葉もなく、ただただ感謝してい
る。十四年にわたる大量の「闇に言い置く私語」が、精細に分類され保管可能のかたちにしていただけたこと、その作業量の気の遠くなるほどの厖大さを想うさ
え、深い吐息が出る。よくも此処まで成し遂げて下さったと、ただただ頭をさげる。ありがとうございました。
* 目の調子が少しずつよくなり、就寝前の読書も半ば復活できている。寐たまま本そのものの重いのは肩も痛めるので、文庫本に今は限っているが、新たに加
えた「共産党宣言」が、読み始めであるが、とても興味深く説得されている。ああこれは歴史的な名著だなと実感できる。一つには世界史をつくづくと読んでき
た体験にも先導されていて、「ブルジョア階級」と謂われればそれへの概念的理解は自身のうちに用意されていて、「宣言」の批評がまっすぐフムフムと伝わっ
てくる。分かりよくかつ面白いし興味津々だしあらためて教えられるところ大きい。近時の岩波文庫あさりで手に入れた。
「共産党宣言」の前ぶれとも読めなくないが、ツルゲーネフの「猟人日記」がロシアの広大な自然と多彩な庶民性・人間味に文学的な血を通わせ、滋味溢るる表現や描写の巧みが希代に面白い。妻がさきに読み終え、上下巻が手元に戻ってきたのをもっぱら楽しんでいる。
ゲーテの「イタリア紀行」がすばらしい。いままだゲーテはシチリアを堪能している最中だが、その自然と人間との観察や批評や探索・探訪の精微に美しく適
確なことに讃嘆しきり。たいがいの紀行には、あまりの尋常さに飽きてしまうことが多いのに、ゲーテのそれには彼の深い篤い息づかいまで肌身に伝わってき
て、まさにゲーテの肩にのせられてわたしも旅をしているような心地。すばらしい。
ローマの大昔の「サチュリコン」には、ただあっけにとられ、ただただ「読まされ」ている。なんという本であることか。
「指輪物語」は二つの塔の物語がいましもクライマックスに近づきつつ、こまやかに美しい大自然と時の推移の描写を楽しみ、味わい、感嘆し、全身で溶け入っている。奇跡のような文学作品。とても嬉しい読書。
「南総里見八犬伝」は、晴明でも清明でもない混沌世界の圧に満ちていて、ときどきシンドクなる。たんなる伝奇世界ではなく、どこかに「近世」を予見した
中世末への辛辣な歴史批評が物語の底でうごめくと感じる。物語以上に、作者馬琴の「ことば」のとほうもない乱舞の韻律に引きずり込まれる。高田衛さんの
「八犬伝の世界」を頼みの道案内にして文字通りねばり強く読み込んで行く。
「捜神記」ももう残り少ない。じいっと怪力乱神の世界に眼をそらさず見入っている。
そして「臨済録」「バグワン」また「十訓抄」とともに自問し自答している。
* 食事の間に、右の奥から一本、金属をかぶせた歯が折れ落ちた。齢の弱りか。わたしの不摂生か。
* 昨日、どなたとも全く知れない肩から、ツゥイッター世間へ「招待」が来た。なにがしかの手順を追っては見たが、さだかには何事とも如何様にとも理解できないで放置してある。実態もみえず判断も届きかねている。
* 四月五日 金
* 起床9:00 血
圧131-57(61) 血糖値84 体重64.0kg
こころもち涙、洟少ない。
朝 妻の喜壽を祝って赤飯 汁 など 朝の服薬 湖の本116 再校出調整 昼過ぎに池袋西武へ 八階「たん熊北店 熊はん」の京料理で祝う。 午の服薬
西武地下で食料買い、帰宅 晩 掻き揚げ饂飩 甘夏二個 昆布茶 ヤクルトなど 晩の服薬 映画「ベン・ハー」を何度目か観て感動。チャールトン・ヘス
トンの最高作。 機械の前へ。
* 無事に妻の喜壽が祝えて、安心した。夫婦合わせて百五十四歳になった。二人で幾山河を越えも渡りもしてきた。
わたしは、まだまだ書いている。
息子の秦建日子も懸命に書き続けている。
湖の本は、五月中には、「ペンと政治」三巻最終の第116巻が出来るし、次巻の心づもりもできかけている。
健康を互いに回復し維持し、さしあたり二人して百六十歳の「傘壽」へまた堅実に歩んで行きたい。
* 相撲茶屋の竹蔵くんが電話をくれた。五月の夏場所十二日めぐらいにまた夫婦して両国の桟敷へ出向けるといいが。
* 毎日、玄関にならべ掛けた飛呂史の「鯉」、宇太郎の「猫・椿」の軸繪を満喫している。どちらも豊かに大きい。妻は椿下に凛とみひらいた猫を愛し、わたしは、堂々の鯉に日々賛嘆。
さて、新歌舞伎座の柿葺落し四月の観劇が待ち遠しい。
第一部「壽祝歌舞伎華彩 鶴壽千歳」「勘三郎に捧ぐ お祭り」「一谷嫩軍記 熊谷陣屋」
第二部「弁天娘女男白浪」「忍夜恋曲者 将門」
第三部「近江源氏先陣館 盛綱陣屋」「歌舞伎十八番の内 勧進帳」
こう書き写してみるだけで、わくわくする。夢にも見てしまう。
* しかし終熄未だしの原発危害を忘れる日々もない。国会の委員会で田中俊一規制委員長の答弁など聴いていると、「テロは予想していない」などと平気で答
えている。これには惘れた。サイバー・テロは最も速やかに襲いかかるだろう、他国の攻撃もいまや絵空事ととても想われないのに、何ぞや。原発の三基もやら
れれば、本当に日本列島は地獄に陥る。まさかでは済まない。
* チャールトン・ヘストンの映画「ベン・ハー」に晩の仕事時間を奪われたが、それに値する最高のキリスト教娯楽映画で、迫力は、「クレオパトラ」「十
戒」などに劣らず、ヒューマンにして敬虔な感動にも溢れる。今日という日に、これがまた観られたのは幸いなことであった。両眼に熱い涙あふれにあふれて、
とても後味の佳い、余韻たしかな名作と云える。
* 四月四日 木
* 起床8:00 血
圧122-66(68) 血糖値70 体重64.4kg こころもち涙、洟少ない。 朝 葛餅 出汁 珈琲ドリンク 朝の服薬 午前の仕事 妻は喉風邪に悩み近くの病院へ。 午 焼き蕎麦 など。 排便子 午後の仕事 晩 素麺など 排便二度 疲れて宵寝 起きても元気出ず。 眠い。
食事をすると、上腹部がかたく張って苦しい。腹は、つまり胃の無くなっている腸腹は、ジュラシックパークで恐竜たちが鳴き騒ぐかのように鳴る。やがて延々乾性・湿性の放屁が連発され、徐々に上腹の突っ張りが緩和される。緩和されるとほっとする。
いま、抗癌剤を含む処方された薬は五種類。そのほかに健常・健勝を期待し、十種類前後の強壮剤やビタミン類や亜鉛や等々を食後に服している、が、この量
の多さにからだが辟易している。服薬するとダアッとしんどくなる。抗癌剤は今日からもさらに二週間休薬ではあるが、規則的に服する薬を「処方薬」だけにし
ばらく加減すれば、からだの違和感が減るだろうか。
それと、食べるようにと心がけて三度の食事に匹敵しそうなほど気が向けば間食しているのも度が過ぎていないか気になる。食べていないと体重は減って行く。
まったく問題ないのは血糖値で、これは体重減の当然の成績らしい。ほぼ70〜90台で理想的に推移している、むろんインシュリン注射は欠かしていないが、かつてより目立って少ない量になっている。
* 廃炉に四十年かかるといわれて来たが、規制委は例外的に二十年の延長を認める場合の基準を明らかにした。原子炉や建屋の健全性をこれまでより詳しく調
べる「特別点検」を電力会社に義務づけるという。ただ、老朽化で原子炉が脆くひび割れる危険はつねに存在していて、それは今日明日にもあり得なくはない。
破損すれば大変な惨害になる。先行き不明瞭なじつに危険にさらされた廃炉事情。いつどんな福島第一なみまたはそれ以上の惨害が各地で起こりかねないことは
専門家はみな知っている。知っていても手が口が出せないと竦んでいる。
* 規制委は「核燃再処理の稼働」も延期を指示している。12月の「新基準を待て」と。
規制委が厳格かつ公正に「原発による危害からの安全」を、ぜひぜひ推進してくれるよう希望する。そのためにも注目、監視が必要。福島第一原発では「停
電」騒ぎがありはらはらさせた以外にも「放射性物質の測定器」が「警報」鳴らしたりしている。この手の故障や不具合や不注意から大事が起きてしまう。要
心・用心・要慎。肝腎要はそれだ。が、人間の手に負えない原子炉自体の脆性破損や破壊の時機はもう来ているということ。これをどうするのか、いっこうに目
にも耳にも届いてこない怖さ。
*
東京電力福島第一原発事故で発生した高濃度の放射性物質を含む「指定廃棄物」の最終処分場問題で、栃木県矢板市、茨城県高萩市を候補地としたが、現在では
取り下げている環境省、なんとか東北圏内に候補地をと焦っているが、当然ながら無理押しで、事に当たるまえの徹底した安全性の確保が得られていない以上お
いそれと誰が何処が受け入れられるものでない。この問題よりさらに大きくて深刻な「核廃棄物」の永久処分場、いわゆる原発の便所問題がより広大な規模で政
府と電力に解決策を求めているが、「指定廃棄物」の何百倍も難しい。しかしいそれが解決できないまま原子炉の罅割れ損壊の危険は、古い型の原発には目前の
懼れとなりつつある。福島第一事故に類する倍する危険が如実に身に迫ってきている。
自民党政治の要の一つを成して久しく無反省・無防備に推進してきた国是たる原発は、国民に迫る「最大不幸」をもたらす喫緊の大危険をいまや日々に醸成し
ている。自民党「違憲」政権、安倍「違憲」内閣の挙って責任を問わるべき巨大な「国の犯罪」が地獄を呼び寄せつつある。現に刻々と危険は各原発に露わに
なっている。福島のドラム缶に千もの汚染水にしても、もう時ならず満杯になり、それを二千に増産用意しても何らの根本的解決になどなりはしない。まさにこ
れは自民党「違憲」政権への極大の「不信」である。万人が容認しうる安全対策を備えないいかなる国と政府との恫喝にも国民は、自治体は欲得で譲ってはなら
ない。
☆ 3.11では帰宅難民になりました。
その後の政治の動きを見るとヤになります。民主党にアキレ果てた後、自民党の本心を隠したオシバイに、どうして拍手を送る人が多いのでしょう。
湖の本115巻、そうだそうだと思いながら読んでいます。
お身体 おいといください。 越谷市 光 エッセイスト
☆ ご体調はいかがでいらっしゃいますか。
筍のの季節がきました。後便にて送らせていただこうと思っています。 高松市 洋
☆ なにとぞ、
なにとぞ御自愛下さい。 取手市 満
* 今日は、懐かしい、しかしもう読み切れない、母校の研究誌「美學藝術學」が届いた。教授陣以下の氏名にもまったく記憶・念識がない。それでも、少し懐かしい。
嵯峨厭離庵下の藤原敏行クンが東京日本橋高島屋で個展をと知らせて呉れた。もう旬日のうち。出かけられるかな。
* 夢中で、小説のために送ってもらった史料や史料本に目を向けている。たとえ活用し利用するのが断片であろうともそれは氷山の一角。頭の中で築いた全容はもはや懐かしいまでに温まっている。
* 「十訓抄」をおもしろく読んでいる。好き心やみやびかに振る舞いたがる男達の失敗、おこの振る舞いなどが容赦なく実名で書かれてある。「すきぬる者
は、かくをこの気のすすむにや。」(風流に心を奪われる数奇者たちは、こんな愚かしい気質も人一倍強いのかもしれない)とは、的確に手厳しく、よく見抜い
ている。
この本、もっともっと読まれておもしろいものと、すっかり見直している。こういう手の本は「古今著聞集」などもそうで、類書はいろいろあるけれど「十訓
抄」はいかにも衆庶の教科書にも成りやすげにあか抜けてムダな難しさも無い。ちょっと読んでみるかと頁をひらくと思いの外いつも多くを読んでいる。「読ま
せる」ちからと配慮が働いていると云うこと。
* 明朝には、いよいよ「ペンと政治」(二下)の再校が出てくる。
(一)からのこの「ペンと政治」三巻は、現代に生きる一老作家の気概、そして批評として編んだ。
この三巻めの副題は「満二年、福島原危害終熄せず」であり、副副題は「野田総理の惨敗・居座る安倍「違憲」内閣・迫る国民の最大不幸」である。虚しい希
望は振り捨てて現実を直に具体的に観測し批評してきた。各一巻の分量は、9ポ46字20行の200頁で換算すればすぐ分かる。400字原稿用紙なら460
枚に相当する。いまどきの市販本にはこの半分で一冊の単行本を作っている例が少なくない。
量が多いことは質を保証しない。が、わたしはこの三巻を「文学」の道に逸れないようにと心して書いてきた。遺憾にもこれらを刊行すべく原稿作りから校
正・責了・装丁作業にかけた半年は、抗癌剤副作用や眼科手術の後遺症で、なかば盲目にちかかったとすら謂えた。それでも、この「満二年、福島原発危害終熄
せず」を見つめてきた「同時進行の証言」として、何としても遺したかった。それがわたしの「ペンと政治」そのものであったから。
* さ、明日は妻の七十七歳「喜壽」の誕生日。喉の風邪で数日悩んでいたが、病院で治療も受けてきた。
とくべつ明日にはなにも予定していないが、もう十日のうちには新歌舞伎座四月の柿葺おろし興行を、終日、一、二、三部とも観る楽しみが用意してある。五月にも同様に用意してある。いま、夫婦して楽しむのにこれに越す嬉しい祝儀はない。
* 四月三日 水
* 起床8:30 血
圧121-59(61) 血糖値77 体重64.3kg
こころもち涙、洟少ない。 体調も歩調も、軽くやや確かに感じられる。休薬効果か。 朝
あみで粥一膳 ヤクルト 出汁 昆布茶 朝の服薬 午前の仕事 排便
聖路加へ 前立腺等問題なく、フリバス処方、四ヶ月後に再審と。今日から新保医師担当。 腫瘍内科。血液の諸検査問題なく、せっかく副作用軽減好転の兆し
みえたので、もう二週間休薬をつづけて四月末に締めくくりの服薬をと主治医決定。五月からは、まずスキャンと内視鏡検査を皮切りに三ヶ月に一度平均の診察
と。とにかくも四月を抗癌剤で締めくくる。帰路、新歌舞伎座に立ち寄る。地下鉄から直接地下の広い売店に入る。売店としてはもう少し緊密な方が親近感わ
く。駅の地下のようで売り出しの品も平凡。もっと上階に良い店があるのか、案内なく、探訪するには疲れていた。近くの「you」でオムレツをと思ったが二
階へどうぞに辟易して退散、結局銀座から池袋西武へ。ここでも食いはぐれてワインもないハヤシライス。帰宅。 晩 葛餅 桜餅 味噌汁など 晩の服薬後、
要するに疲労に負けて寐てしまった。
* 発送電の分離を政府は平成十八〜二十年にと姿勢を見せた、が、これは単なる姿勢の表示に過ぎず、すでに各電力は反対の声を挙げている。ずるずるとなし
崩しに失せ行く姿勢に終わるのでは危惧される。電気料金の値上げはすばやいが、本質的に必要なことは手の届かない遠い未来に預けおいて風化させる、それが
安倍「違憲」内閣の狡い手だ。電力制度改革方針で「電源増やし電力の安定供給を」という政権の姿勢にはだから「原発温存・再稼働へ」という下心が露骨。大
切な一歩は「発送電分離」の実現、これが料金低下のためにも「カギ」なのに、道をわざと違えて事を混雑させておいて党利党略をはかるというのが、安倍「違
憲」内閣の狡い手なのだ。
* 北朝鮮が原子炉の再稼働を公言し、周辺諸国は異議を唱えている。日本国もしかり、「稼働停止へ各国と連携」と官房長官は云っている。それならば国内の原発再稼働にもしっかり「歯止め」すべきであろう。
* 惘れるのは、情報の漏洩で規制庁から文科省へ戻された名雪元審議官、それさえも綱紀違反なのに、山形大学へ天下りした。いわゆる「原子力ムラ」との厚顔無恥な癒着と無反省の強行だ。こういうとき、昔なら学生が抗議に立ったのに。
☆ 春爛漫
東京の桜は散りはじめたようですが、関西の桜は今が満開、あたりはどこも白い衣装を身にまとい、すばらしいながめを楽しんでおります。
その後、ご体調はいかがでしょうか。先月は「湖(うみ)の本」115巻をご恵送く下さり、ありがとうございます。すっかり読み終えてからお礼状をと思っているうちに、すっかり遅くなってしまいました。しかししっかりと拝読し、感慨を深くしております。
3.11の大地震、その時間を追っての記録。シャカイや政治の動き、ひっしに生きる人々の姿、一つ一つ同感しながら、時には執筆者と心を一つにして立腹し、犠牲者へ涙しました。その後も、日々生命あふれる公正な社会を目ざしての記録や行動に敬服するばかりです。
ありがとうございました。現代に生きる文学者の迫真の声、大切なものだと思います。
どうか、お体にご留意下さいませ。 草々 阪大名誉教授 春 国文学者
* 四月二日 火
* 起床8:30 血
圧111-56(56) 血糖値92 体重63.7kg こころもち涙、洟少ないか。 体調も歩調も、軽くやや確かに感じられる。休薬効果が滲み出て来ているか。 ただしその期限も明後日まで。少なくも今月中はたぶん服薬と休薬とを交互に繰り返すだろう。
朝 蕎麦 出汁 大蒜 珈琲ドリンク 焼酎少し 朝の服薬 午前の仕事。 午 素麺 百合根の甘煮 食パン半枚
大蒜 出汁 昆布茶 ヤクルト 珈琲ドリンク 午の服薬 午後の仕事 晩 厚揚煮込 茶漬一膳 大蒜 珈琲ドリンク
ケーキ一つ 晩の服薬
涙は出安いけれど明らかに視野や視力が落ち着いてきている。 晩の仕事。 明日は強風と強い雨が予報されているが独りで聖路加通院、腫瘍内科と泌尿器科へ。
* 朝から。小説を、じわりと前進。また前進。前進すればするほど闇が濃くなる。
☆ 「湖の本115巻を
御恵贈下さいまして、有難う存じました。
政治に関しての日々の御念を率直にお記しで、これは後世に対して、良き指標となることでしょう。もっとも政治家が読んでくれなければ折角の御論も、通じ
ない、という残念があります。(これは多くの人の場合がありますけれど)。私とカンカンやっていた友人も□□をで、私はもう、「国会討論」というと、テレ
ビを消します。隕石飛来で、ホーキング博士の、「あと○○年で地球自滅」という説を思い出し、ゾッとしています。今の、一時一時を大切にする他ありませ
ん。
どうぞ、日々お大切に。(乱筆、お許し下さい。この紙は滲みます。) 文藝批評家 元文藝誌編集者 喜
* たしかに政治家に伝えたい内容だが、かれらの関心範囲も執務時間も広く永いには相違ない。それと承知で、わたしは送っておこうと思う政治家や評論家や
キャスターたちには前回、今回贈っている。もっとも個々の送り先は容易に知れず、政治家の場合は党本部に送っている。数十人。いままでに少なくも返信・返
礼のあったのは、江田五月さん、菅直人さん、市田忠義さん、辻元清美さん、滋賀県知事の嘉田由紀子さん。元保谷市長の都丸哲也さん、市民運動家の吉川勇一
さん。
ついでだから、「ペンと政治」に限って送ってみた人たちの氏名を明かしておく。この人に送ってみて欲しいとお考えの方は、送り先を添えてご助言下さい。
* 「ペンと政治」臨時の寄贈者(敬称略)
<政界>
・ 民主党 江田五月 菅直人 馬淵澄夫 田中真紀子 枝野幸男 岡田克也 安住淳 辻元清美 赤松広隆 原口一博 長妻昭 古川元久 前原誠司 松原仁 蓮舫 桜井充 細野豪志 末松義則 福山哲郎 松尾貴史
・ 自民党 小泉進次郎 河野太郎 林芳正 根本匠
・ 公明党 山口那津男
・ 社民党 福島みずほ
・ 共産党 志位和夫 市田忠義 穀田恵二 紙智子
・ みんなの党 渡辺喜美 江田憲司 川田龍平
・ みどりの風 谷岡郁子 亀井亜紀子 舟山康江
・ 生活の党 青木愛 小宮山泰子 森ゆうこ
・ 東京都知事 猪瀬直樹
・ 滋賀県知事 嘉田由紀子
・ 京都市市長 門川大作
・ 元保谷市長 都丸哲也
・ 元西東京市市会議員 森てるお
<報道・キャスターほか>
三反園訓 鳥越俊太郎 田原総一朗 川村晃司 関口宏 岸井成格 野沢信一 吉川勇一 膳場貴子 飯尾歩 佐藤直子 豊田洋一 古舘伊知郎 岩見隆夫
鎌田慧 樺山紘一 姜尚中 北沢洋子 桜井よしこ 篠原文也 田中優子 竹中平蔵 立花隆 服部孝章 半田滋 樋口恵子 山口二郎 山根基世 村上祐子
有田芳生 大谷昭宏 金子恵美 熊倉功夫 国弘正雄 玉川徹 村尾信尚 古賀茂明 国谷祐子 大手各新聞社
* この人に送ってみて欲しいとお考えの方は、送り先を添えてご助言下さい。
* さ、明日の通院がある、疲れ切らないうちに休みます。
* 平成二十五年(2013)四月一日 月
* 起床8:30 血
圧131-56(57) 血糖値91 体重63.7kg 体温35.1度 こころもち涙、洟少ないか。 朝 饂飩半分 ヤクルト 珈琲 出汁 朝の服薬 午前の仕事 午 飯一膳 塩昆布 菓子一つ 出汁 午の服薬 三
時半 妻風邪のため江古田の歯科独りで受診 保谷駅でパンなど買って帰宅 歩行などよほど楽に速く成っていたが。 晩 出前の鮨いまいち味わえず 食後食
卓に顔伏せ
一時間余も寝入る。 排便 からだも眼も、よほど楽。
* 妻、風邪け、喉を痛めている。午後の歯医者へは独りででかける。明後日の腫瘍内科へもたぶん独りででかける気。五日の喜壽を元気に無事に迎えさせてやりたい。
☆ 秦先生へ こんにちわ。
今年の春は寒暖の差が大きいですね。風邪などひかれていませんか。
週末は乗鞍高原に父母を連れて行き、雪の上のハイキングと温泉を楽しんできました。
帰りには木曽の奈良井宿に寄り、風情のある街道の街をゆっくりと歩いてきました。
年に一度の親孝行ですが、喜んでもらえて良かったと思っています。
さて、乗鞍から、ブルーベリーと林檎のジャムを秦先生宛てにお送り致しました。
ブルーベリーは眼に良いとのことです。少しでも効果があればと思います。また長野の名産をご賞味下さい。
最近さすがに忙しく、帰宅すると疲れてそのまま寝てしまうことも多いです。
一時期胃が痛く、胃カメラ検診の結果、「胃炎」と診断され今はお酒も控えています。
体力には自信があったのですが、これからは自分の体のことを気をつけて仕事をしたいと思っています。
もしお時間がありましたら、お会いできればと思っています。
奥様にも宜しくお伝え下さい。 富士市 松 東工大卒業生
* どうしてるかなあと妻と噂をしていたら、メールが届いた。気遣いの優しい学生君であった、りっぱな大人になっても気が優しい。すこし元気が戻ってきた頃に会いたい。
とにかくも歯医者に、怪我無く行ってこなくては。
* 歩行速度も速まり、涙目・洟水もよほど減って、楽に。それでも歯医者へ独り行って疲れたか、夕食後食卓に伏して一時間の余も寐入っていた。
☆ メール有り難う
随分お元気になられて良かったですね 我が家の人は寒い2月は家に籠もりっきりだったのですっかり足腰が弱り、今は、何かに掴まらないと歩けません。
元々食が細かったのが益々減退し、最近は心臓にも影響が出てきました。 男性の八十過ぎだからと医者は云いますが、個人差はありますね。
介護で共倒れしなければいいがと、面白くない毎日を暮らしています。
今は週三回デイサービスに行くので、その間に外向きの用事を済ませていますが
、桜の頃、娘が誘ってくれて、孫と三人で新しい歌舞伎座を観て 勝どき橋を渡って慌ただしく一人で大江戸線で帰りました。ささやかな気晴らしです。
多少の差はありますが老々介護の友人が何人かいて愚痴ってます。
前向きの気力があってこそ生きている事だと、つくづく思います。 花小金井 泉
* 富士市の子松君からたっぷりの瓶詰めで信州のブルーベリー・ジャム、林檎ジャム、頂戴した。感謝。
* 機械が稼働までに、「臨済録」読んでいた。
☆ 臨済和尚に聴く
昔の先輩たちは、どこへ行っても人に理解されず、追い払われたものだが、そうなってこそその貴さがわかる。 どこででも人に受け入れられるような人物ならば、何の役に立とうぞ。 獅子が一吼えすれば、野干(狐)は脳が割れてしまう。(獅子一吼、野干脳裂)
世間には、修習すべき道があり、証悟すべき法がある、などと説くものがいるが、一体どんな法を悟り、どんな道を修しようというのか。そいつらがくだらぬ
お説教を垂れて人さまを呪縛し、「教理と実践とが即応し、身口意の三業を慎んで始めて成仏できるのだ」などと言わせておる。こういう説をなす連中は春の細
雨のように多い。
古人は「道で修道者に出逢ったら、絶対に道の話をしてはならぬ」と言い、だからまた「もし人が道を修めようとしたら道は発現しなくなり、さまざまの異端
が先を争って出てくる。しかし一たび知慧の剣が現れ出れば、すべては跡かたもなく消え、明が顕われ出る前に暗が輝き出る(明頭未だ顕はれざるに暗頭明らか
なり)」と言い、さればこそ古人はそこを「平常心がそのまま道である(平常心是道)」とも言った。
もし異った心を生じると、心の本体とその現れとが別々になる。しかし一心は異らぬから、その本体と現れとは同一である。
* ものごとのゴチャゴチャになった頭から、無用のごみを手づかみに捨ててもらった心地がする。
☆ 臨都駅答夢得(=劉夢得)二首 白楽天
揚子津頭月下 揚子津頭の月下
臨都駅裏燈前 臨都駅裏の燈前
昨日老於前日 昨日は前日より老い
去年春似今年 去春は今春に似たり
謝守帰為秘監 守を謝し帰りて秘監となり
憑公老作郎官 公を憑み老ひて郎官となる
前事不須問着 前事は須く問着すべからず
新詩且更吟看 新詩は且つ更に吟看せん
* 先韻は、客舎に宿って夜中劉夢得を憶う心を述べている、春景色は去年も今年も同じですが、昨今は旅に疲れましての、去年より老いましたわい、と、月下、揚子江の船泊て、都駅の片隅に灯しをかかげての、まさに旅愁。「磯の灯ほそりて更くる夜半に 誰にか語らん旅のこころ」とでも読むか。
寒韻は、白楽天が、蘇州刺市(知事)の官をしりぞき、文宗の都で秘書監となったが、更に君を頼んで刑部侍郎として官途に日を送ってきた。が、そんな既往にもはや何も問いますまい、新作の詩を吟じては清閑をたのしみましょうぞ、と。
珍しい、六言絶句でもある。
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